カスタマーサクセスとは?~サービスの質を高め顧客満足度向上~
テレマーケティングって何?CTIシステムは大企業じゃないからうちには無用なんて思っていませんか? 売上向上のための有効な方法として一層注目されるようになったテレマーケティング。 本稿では、オフィスでもテレワークでも出来るテレマーケティングの成功のコツ、業務のすべてを見える化するポイント、基礎知識やをご紹介していきます。
カスタマーサクセスとは?
LTVは低下を防ぐ目的で行われるものとは?
カスタマーサクセスとは、顧客に対して能動的に働きかけることで「顧客の成功」を導く活動のことを指します。
2000年代初頭のアメリカで誕生した概念で、日本においては2010年代後半から導入する企業が徐々に増加しており、近年多くの企業から注目を集めています。
カスタマーサクセスは、顧客の成功が自社の利益につながるという考えをベースにした活動で、自社の商品やサービスを利用する顧客を成功に導くことで、LTVの最大化を図ることを目的としています。
LTVとは「Life Time Value」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。
1人もしくは1社の顧客から生涯にわたって獲得できる利益を表す指標のことで、企業が継続的に利益を上げるためにはLTVを向上させることが重要です。
自社の商品やサービスを顧客に購入してもらったとしても、顧客にとって商品やサービスを利用するメリットがなければ、継続的に使用してもらうことはできません。
顧客が他社の商品やサービスに流れてしまうと、本来得られるはずだった利益を得ることができなくなります。
加えて、自社の別商品・別サービスを利用してもらう機会も失われてしまうでしょう。
このような事態に陥るとLTVは低下してしまいますが、これを防ぐ目的で行われるのがカスタマーサクセスです。
自社が提供する商品やサービスを使い続けたいと思ってもらうために、積極的に顧客へとアプローチをして商品やサービスの利用をサポートを行います。
顧客にとっては、目標達成や業績向上などの成功へとつながるサポートを受けることができるというメリットがあり、企業にとっては、LTVの最大化を図れるというメリットがあります。
このように、カスタマーサクセスは顧客と自社の双方に大きなメリットをもたらしてくれるのです。
また、カスタマーサクセスという概念が日本で採用され始めたのは2000年代中盤ごろですが、多くの注目を集めるようになったのはここ数年のことです。
ここ数年で急速に普及したビジネスモデル
当初はそれほど注目を集めておらず、導入する企業は限られていましたが、ここ数年でビジネスモデルが大きく変化したことから多くの注目が集まるようになりました。
現在、経済のグローバル化が進んだこともあり、日本をはじめとした先進国の多くでは多種多様な商品やサービスがあふれています。
顧客にとっては多くの選択肢がありますが、企業にとっては競争相手が多く、競合他社との差別化を図ることが難しくなっています。
一昔前のように単純に良い製品やサービスを提供すれば顧客から選んでもらえるという時代ではなくなっており、単に商品やサービスを提供しているだけでは、熾烈な価格競争に陥って利益の確保が難しくなりました。
そのため、近年では購入後のメンテナンスや保守などのサービスの重要性が高まっています。
多くの企業は、単に商品やサービスを提供するだけでなく、サービスを充実させるさせることで他社との差別化を図ってきましたが、ここ数年で急速に普及したのがサブスクリプションやSaaSといったビジネスモデルです。
サブスクリプションとは、定額料金を支払うことで、一定期間にわたって商品やサービスが提供されるビジネスモデルのことを指します。
例えば、動画配信サービスや音楽配信サービスが代表的なサブスクリプション形式のサービスですが、近年では自動車や不動産、食品、ファッションなど様々な業界でサブスクリプション型のサービスが提供され始めています。
一方のSaaSとは「Software as a Service」の略で、これまでパッケージ製品として販売されていたソフトウェアを、インターネット経由で提供するサービス形態を指します。
多くのSaaSは、サブスクリプション形式で提供されており、顧客はこれまでのパッケージ製品とは異なり、ソフトウェアを使いたい期間だけ契約することが可能です。
サブスクリプションやSaaSが普及した背景には、顧客のニーズが多様化し、従来のように「所有する」ことに魅力やステータスを感じる方が減少したことにあります。
サブスクリプションやSaaSが普及した理由
加えて、無駄なお金を使いたくない方が増加したこともあり、使用したい期間だけ料金を支払う仕組みのサブスクリプションやSaaSが普及したと言われています。
また、サブスクリプションやSaaSは、顧客にとって初期費用を抑えることができることや、いつでも解約できるといったメリットがあります。
しかし、企業にとっては顧客に利用し続けてもらわないと利益を確保することができません。
買取形式の商品やサービスであれば、売ってしまえば利益を確保することができます。
一方、サブスクリプションやSaaS形式の商品やサービスは、初期費用を抑えることができるため、買取形式のものよりも顧客の獲得は容易ではありますが、買取形式の商品やサービスよりも1人もしくは1社の顧客から一度に得られる利益が少ないという特徴があります。
そのため、サブスクリプションやSaaS形式のビジネスを成功させるためには、新規顧客を獲得するよりも獲得した顧客を解約させないことの方が重要となりますが、カスタマーサクセスを導入して、顧客が商品やサービスを利用するにあたり疑問や課題を感じる前にアプローチすれば、顧客が自社の商品やサービスに不満を感じることを防ぐことが可能です。
これにより、顧客が競合他社へと流れてしまうリスクは少なくなるでしょう。
このように、近年カスタマーサクセスという概念が注目を集めるようになった背景には、顧客に継続利用してもらうことを前提としたサブスクリプションやSaaSが普及したことにあります。
また、一般的に新たな顧客を獲得することよりも、既存の顧客を離脱させないことの方がコストがかかりません。
マーケティング用語のひとつである「1:5の法則」によると、新規顧客の獲得には既存顧客の維持の5倍のコストがかかるとされています。
また、既存顧客の離脱を5%改善すれば、利益率が25%向上するという「5:25の法則」も広く知られています。
これらの法則を見ても、企業にとって既存顧客の離脱を阻止することがいかに重要かが分かるかと思います。
カスタマーサクセスは、日本においては、広く普及しているとは言えないのが現状ですが、着実に導入する企業は増えており、今後はさらに普及していくことが予想されています。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサポートとは?
自社の商品やサービスを利用する際のサポートを実施すると聞くと、カスタマーサクセスではなく「カスタマーサポート」をイメージされる方も多いかと思います。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客に対するサポートを行うという点では共通しているため、混同されがちな活動ですが、数多くの相違点があります。
そもそもカスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに対応する業務のことを指します。
問い合わせの内容は多種多様ですが、顧客が直面している疑問や問題を解決するためのサポートを行うのが主な業務です。
加えて、不平不満やクレームに対応するのもカスタマーサポートの業務のひとつとなりますが、問い合わせの内容にかかわらずコールセンターには迅速かつ的確な対応が求められます。
また、顧客からの問い合わせは基本的にメールや電話、チャットなどの手段で行われますが、多くの問い合わせが発生する企業ではコールセンターやコンタクトセンターなどを設けて対応しています。
このように、電話やメールなどで顧客から寄せられる問い合わせに対応するのがカスタマーサポートの主な業務となりますが、カスタマーサポートには大きく3つの役割があります。
まず挙げられる役割は、リピーターの獲得です。
もし顧客が購入した自社の商品やサービスに不満を抱いたとしても、カスタマーサポートの対応次第では、顧客が他社へと流れていく可能性を下げることができます。
これにより、自社の商品やサービスを再び利用してくれるリピーターの獲得につなげることが可能です。
また、カスタマーサポートは商品やサービスの質を改善させる役割も担っています。
カスタマーサポートに寄せられるクレームや意見は、商品やサービスの改善に役立つ貴重なヒントとなります。
そのため、自社の商品やサービスの向上につながる不平不満を拾い上げることも、カスタマーサポートに与えられた重要な役割と言えるでしょう。
最後に挙げる役割は、自社イメージの向上です。
カスタマーサポートでは、顧客と一対一でコミュニケーションすることになりますが、その対応によっては顧客満足度を高めることが可能です。
その結果、自社の商品やサービスだけでなく、自社に対しても良いイメージを抱いてもらえる可能性が高まります。
以上がカスタマーサポートの概要となりますが、カスタマサクセスとの相違点としてまず挙げられるのは、活動の目的です。
上記の通り、カスタマーサポートは、顧客から寄せられる多種多様な問い合わせに対応するのが主な目的で、問い合わせに対して迅速かつ的確に対応することで、顧客満足度の最大化を図っていきます。
カスタマーサクセスとは?
一方のカスタマーサクセスは、顧客が自社の商品やサービスを利用して目標を達成したり、業績を向上させたりするのをサポートするのが主な目的です。
例えば、導入段階においては、自社の商品やサービスをスムーズに導入できるようにサポートし、導入企業が問題なく利用できる状況になるまでサポートを継続します。
また、利用段階においては、顧客の利用状況のデータを収集・分析し、必要があればフォローやアドバイスを行います。
このように、顧客の状況に応じて適切に対応していくのがカスタマーサクセスの基本的な活動で、このような活動を継続して行うことでLTVの最大化を図っていきます。
上記の通り、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、それぞれ目的が異なる活動となりますが、目的が異なることで活動に取り組むスタンスにも違いが生じます。
カスタマーサクセスでは、顧客が自社の商品やサービスを利用する際に生じるであろう疑問や課題などに先回りして対応していくため、能動的な活動と言えるでしょう。
一方のカスタマーサポートの場合、疑問や課題などを抱えた顧客からの問い合わせがなければ成り立たない業務で、問い合わせがあって初めてスタートする業務なので、受動的な姿勢の活動となります。
また、カスタマーサポートの場合、顧客と関わる期間は問題発生から解決までなので比較的短期的で、断続的です。
これに対して、カスタマーサクセスの場合は顧客が目標を達成するまで関与し続けるため、顧客とは中長期的に継続して付き合っていくことになるという違いもあります。
さらに、企業にとっての位置づけも異なります。
コストセンター、プロフィットセンターとは?
多くの企業では、カスタマーサポートはコストセンターに位置付けられています。
コストセンターとは、直接的な利益を生まない部門のことです。
代表的なコストセンターとしては、総務部や人事部、経理部などの間接部門が挙げられますが、企業にとってはこれらの部署にかかる費用をいかに抑えるかが重要となります。
カスタマーサポートは、顧客満足度を高めるのに欠かせない部門ではありますが、企業に直接的な利益をもたらすことはないため基本的にはコストセンターに位置づけられます。
したがって、カスタマーサポートでは、顧客からの問い合わせに対して効率的に回答していくことで、コストを抑えながら運営していくことが求められています。
一方のカスタマーサクセスは、プロフィットセンターに位置付けられます。
プロフィットセンターとは、コストセンターとは異なり、企業に直接的な利益をもたらす部門のことを指します。
最も代表的なプロフィットセンターとしては、営業部が挙げられますが、プロフィットセンターでは収益から費用を差し引いた利益を最大化することが目的となります。
カスタマーサクセスは、顧客に自社の商品やサービスを使い続けたいと思ってもらうことを目的としているため、企業に利益をもたらすプロフィットセンターに位置付けられます。
また、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客を維持する方がコストがかからないため、カスタマーサクセスは効率的に利益を生むことが可能です。
そのため、カスタマーサクセスは、コストをかけてでも積極的に行っていくべき活動と言えるでしょう。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、どちらも顧客をサポートするという重要な活動です。
しかし、これらはそもそも目的が異なる活動で、その他にも数多くの相違点があるため混同しないようにしましょう。
カスタマーサクセスの役割とメリット
カスタマーサポート導入のメリット①
ここまで、カスタマーサクセスの概要とカスタマーサポートとの違いについて解説してきましたが、カスタマーサポートを導入するとどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここからは、カスタマーサクセスが果たす役割と、導入することで得られるメリットについて確認していきましょう。
まず挙げられるカスタマーサクセスの役割は、顧客の解約を防止することです。
上記の通り、カスタマーサクセスが注目を集めるようになった背景には、サブスクリプションやSaaSの普及がありますが、これらのビジネスモデルでは顧客を獲得すれば安定した利益が望めるというメリットがありますが、すぐに解約されてしまう恐れもあります。
サブスクリプションやSaaSといったビジネスモデルは、顧客に継続利用してもらうことを前提としているため、顧客の解約率が高まると利益を確保することが難しくなります。
そのため、これらのビジネスモデルを成功させるには、顧客の解約を防ぐのかが重要となりますが、解約率の軽減につながる施策のひとつがカスタマーサクセスの導入です。
例えば、スムーズに導入できるようにサポートを行ったり、利用開始後に適切なフォローを行ったりすれば、顧客が自社の商品やサービスを使い続けてくれる可能性が高まり、解約率は軽減していくでしょう。
また、解約を検討している顧客に対しては、現在の契約形態を見直して他のプランへの乗り換えを促すことで解約を考え直してもらいます。
さらに、自社の商品やサービスを活用しきれていない顧客に対しては、これまでとは異なる活用方法を提案して、自社の商品やサービスを利用するメリットを実感してもらうことで、解約を検討すること自体を防ぎます。
このように、顧客の解約を防ぎ、継続利用してくれる顧客を増やしていくことがカスタマーサクセスの役割のひとつとなりますが、顧客の解約を防げれば、関連する別の商品やサービスを購入してもらえたり、より高額な商品やサービスを利用してもらえたりする確率が高まります。
その結果、企業はより多くの利益を上げることが可能となります。
これが、カスタマーサクセスの一つ目の役割とメリットです。
カスタマーサポート導入のメリット②
加えて、LTVの最大化を図れるのもカスタマーサクセスのメリットのひとつです。
上記でも説明しましたが、LTVとは1人もしくは1社の顧客から生涯にわたって獲得できる利益のことを指します。
LTVを向上させることは企業の利益に直結するため、LTVの最大化を図ることは企業にとって欠かすことができない施策のひとつと言えます。
LTVを算出する方法にはいくつかありますが、その中の一つに顧客単価・購入頻度・契約継続期間を掛け合わせるという方法があります。
カスタマーサクセスを実施すれば、顧客の離脱を防いで契約継続期間を延ばすことができるため、当然ながらLTVは向上します。
加えて、顧客に対して、追加購入や買い替えなどを提案をすれば購入頻度の向上が図れますし、より高額な商品やサービスの利用を促せば顧客単価を上げることができるため、LTVの最大化へとつなげることが可能となります。
また、LTVが高いということは、顧客単価や購入頻度が高く、離脱率が低いことを意味しているため、LTVはサブスクリプションやSaaSなどのビジネスモデルにおいて非常に重要な評価指標のひとつとなっています。
なお、カスタマーサクセスにおいて、顧客に対して行う提案はあくまで顧客の成功へと導くために行われるものであって、自社の利益のためだけに行ってはいけません。
自社の利益のためだけに行われる提案は、顧客との信頼関係を悪化させる要因となり、かえって顧客の離脱を促進してしまう恐れがあるため、顧客に何らかの提案を行う際は内容とタイミングに十分に注意する必要があります。
カスタマーサポート導入のメリット③
また、自社の商品やサービスの問題点や改善点を見出すことができるのも、カスタマーサクセスを実施する大きなメリットです。
カスタマーサクセスでは、顧客の離脱を防いだり、LTVの最大化を図ったりするために、顧客と積極的にコミュニケーションを取っていきくことになりますが、このコミュニケーションは企業側から顧客に対して一方的に行われるものばかりではありません。
顧客に対して積極的にアプローチしていると、自ずと顧客から自社の商品やサービスに関する率直な意見を得る機会が増えてきます。
これらのフィードバックの中には、企業側がこれまで気が付くことができなかった問題点や改善点の発見につながるものもあるはずです。
そのようなフィードバックを真摯に受け止めれば、自社の商品やサービスの改善につなげることが可能です。
カスタマーサポートでも顧客からのフィードバックを得ることはできますが、自社の商品やサービスに対して不満を抱えている顧客の全てが問い合わせをしてくれるとは限りません。
そのため、カスタマーサポートだけでは十分なフィードバックを得ることは難しく、自社の商品やサービスの問題点や改善点を見いだせないことも十分に考えられます。
また、カスタマーサクセスで顧客から寄せられるフィードバックは、企業側だけでなく顧客自身にも大きなメリットをもたらします。
商品やサービスの改善につながるフィードバックをすることは、商品やサービスが使いやすくなる可能性が高めることになるため、結果的に顧客自身のメリットへとつながっていきます。
このように、顧客と企業の双方向のコミュニケーションによって、適切なフィードバックと改善が繰り返し行われれば、カスタマーサクセスの効果は飛躍的に高まり、顧客にとっても企業にとっても大きなメリットをもたらしてくれるはずです。
もちろん、フィードバックの全てに対応することはできませんが、たとえ対応できないフィードバックが寄せられたとしても、それを無視することなく顧客が納得できるような提案を行うこともカスタマーサクセスに求められる役割となります。
以上がカスタマーサクセスの代表的な役割とメリットとなりますが、顧客に対して適切にアプローチできれば、サブスクリプションやSaaSといった形式の商品やサービスを提供する企業に多くのメリットをもたらしてくれるはずです。
カスタマーサクセスの施策実行上で設定すべきKPI
KPIとは?
上記の通り、カスタマーサクセスはサブスクリプションやSaaSといった形式の商品やサービスを提供する企業に多くのメリットをもたらしますが、カスタマーサクセスの効果は目に見えにくいものです。
そのため、カスタマーサクセスを成功させるためにはKPIを設定して、どの程度の効果が得られているのかを把握することが大切です。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標と訳されます。
目標達成までの進捗を測るための指標のことで、KPIを設定することで目に見えにくい取り組みの達成度合いを客観的に把握することが可能となります。
カスタマーサクセスにおいては、オンボーディング完了率・継続率・解約率・アップセル率・クロスセル率・NPSといった数値がKPIとして設定されることが多いです。
オンボーディングとは、顧客に自社の商品やサービスの利用方法を理解してもらい、運用が軌道に乗った状態になるまで導くことを指します。
つまり、オンボーディング完了率とは、商品やサービスの利用を開始した全ての顧客に対して、どの程度の割合の顧客がオンボーディングが完了したと判断される基準を満たしたのかを表すということです。
通常、解約率は導入初期段階に高くなる傾向があるため、顧客に対して利用方法や操作方法などをレクチャーして、少しでも解約を防ぐことが大切です。
この取り組みを評価するための指標がオンボーディング完了率で、この数値が低い場合はチュートリアルの作成や、問い合わせ体制を強化といった解約防止策を講じる必要があります。
なお、オンボーディング完了の基準は、商品やサービスの内容や顧客によって異なりますが、初期設定の完了率や導入企業内での浸透率といった指標が使われるのが一般的です。
KPIとして設定すべき指標
継続率は、獲得した顧客が契約を継続してくれた平均期間のことです。
継続率が高ければ高いほど、顧客満足度が高いと判断することができ、継続率を改善することは結果としてLTVの最大化へとつながっていきます。
そのため、継続率はKPIとして設定すべき指標のひとつとなります。
なお、継続率をKPIとして設定する際は、オンボーディング完了から半年以内の継続率、1年以内の継続率といったように期間を区切って設定することをおすすめします。
また、継続率と並んで重要となる指標が解約率です。
解約率は、継続率を高めることで自ずと低下していきますが、解約率が低ければ低いほど安定した利益を確保することができます。
解約率には、カスタマーチャーンとレベニューチャーンの2種類の考え方があります。
カスタマーチャーンとは、顧客数をベースに算出する解約率のことで、解約数を契約顧客数で割ることで算出可能です。
一方のレベニューチャーンとは、収益ベースで算出する解約率のことで、サービス単価と解約数を掛け合わせた数値を売上で割ることで算出されます。
サービス単価が1パターンしかない場合は、カスタマーチャーンのみの設定で十分ですが、複数の料金プランを提供している場合は、レベニューチャーンも設定する必要があります。
上位プランと下位プランでは、同じ1件の解約でも利益に与える影響には大きな違いがあるため、解約率は提供する商品やサービスの内容やプラン数に応じて適切に設定することが大切です。
アップセル率とクロスセル率も、カスタマーサクセスにおけるKPIとしてよく使われる指標です。
アップセルとは、より高い商品やサービスへと乗り換えること、クロスセルとは、別商品・別サービスの追加購入を意味します。
アップセル率とクロスセル率を高めると、顧客単価が向上するため、KTVの最大化へとつながります。
そのため、アップセル率とクロスセル率もKPIに設定すべき指標と言えるでしょう。
ただし、アップセルとクロスセルの提案を過度にやり過ぎると、解約率を高めてしまう恐れがあります。
したがって、アップセルとクロスセルの提案をする際は、全ての顧客に対して同じ提案をするのではなく、顧客ごとに適した内容の提案をすることが重要です。
NPSとは?
NPSとは「Net Promoter Score」の略で、顧客推奨度などと訳されます。
自社の商品やサービスに対する愛着や信頼といった顧客ロイヤルティを測るための指標で、NPSが高い顧客ほど継続率が高くなる傾向があります。
そのため、NPSをカスタマーサクセスにおけるKPIに設定することも少なくありません。
NPSを計測するためには、顧客に対してアンケートを実施する必要がありますが、質問の内容は決まっています。
その内容は、「あなたがこの企業の商品(サービス)を友人や同僚に薦める可能性はどの程度ありますか」というもので、0~10の11段階で回答してもらいます。
そして、0~6と回答した顧客を「批判者」、7または8と回答した顧客を「中立者」、9または10と回答した顧客を「推奨者」の3グループに分類し、アンケート回答者数に対する推奨者数の割合から、批判者数の割合を差し引いた数値がNPSとなります。
例えば、100人に対してアンケートを実施した結果、推奨者が30人、批判者が50人だった場合のNPSは「-20」です。
なお、NPSはマイナスとなることが多いものの、カスタマーサクセスを実施することで徐々に改善されていくことが重要なので、初期段階で実施したアンケート結果でNPSが低い数値となっても問題はありません。
また、NPSを計測するためのアンケートは定期的に行うことが大切ですが、アンケートを実施する際は結果だけでなくサンプル数にも注意を払う必要があります。
統計的には、サンプル数が多ければ多いほど誤差が少なくなり、信頼性の高い結果を得ることができますが、逆にサンプル数が極端に少ないと誤差が大きすぎて統計的に有効とは言えない結果となってしまいます。
統計的には、誤差を±5%程度まで許容できるのであれば400サンプル以上、±2%程度まで抑えたいのであれば2000サンプル以上が必要と言われているため、どの程度の誤差まで許容できるのかを明確にした上でサンプル数を決定することが大切です。
カスタマーサクセスでビジネスを成功に導こう
カスタマーサクセスの導入を成功させるためには?
カスタマーサクセスは、サブスクリプションやSaaSなどのビジネスモデルの成功に必須ともいえる活動です。
しかし、カスタマーサクセスはポイントを押さえた上で導入しないと、失敗に終わる恐れがあります。
カスタマーサクセスの導入を成功させるためには、まず顧客を知ることが大切です。
顧客にとっての成功が何なのかを把握せずにカスタマーサクセスを実施しても、顧客の成功を導くことはできません。
顧客にとっての成功を定義することは簡単ではありませんが、まずは顧客が抱える課題や目標を把握して、それらに対して自社が提供する商品やサービスがどのような貢献ができるのかを整理することから始めましょう。
また、顧客の利用状況を常に把握することも大切です。
利用状況を測る際に使える指標としては、サービスへのログイン回数や頻度などが挙げられますが、これらの指標が少ない(低い)場合は十分に使いこなせていない可能性が高いと考えられます。
したがって、このような顧客に対しては優先的にアプローチするなどの対応をしていくことが大切です。
加えて、カスタマーサクセスでアプローチする際は、自社の商品やサービスで課題を解決できる顧客なのかを慎重に判断する必要もあります。
自社の商品やサービスにマッチしない顧客に対してアプローチしても、顧客の成功を導けないばかりか、自社の評判を悪くしてしまう恐れがあるため注意が必要です。
また、サブスクリプションやSaaSといったビジネスモデルでは、顧客からのフィードバックを活用して商品やサービスの改善につなげることが大切ですが、活用するフィードバックは慎重に選ばなければいけません。
顧客からのフィードバックを基に商品やサービスを改善しても、それが万人向けではなかった場合、その他の顧客の利便性を損ねてしまう恐れがあります。
そのため、顧客からのフィードバックを改善に活かす際は、全顧客のどの程度に有効な改善となるのかを慎重に判断することが求められます。
さらに、適切な人材を配置することも重要です。
カスタマーサクセスに必要となるスキルは、企業の規模や提供する商品やサービスによって異なりますが、基本的にはコミュニケーションスキル・課題の発見・解決スキル・データ分析スキルなどが求められます。
カスタマーサクセスで大切なこと
カスタマーサクセスでは、顧客と密なコミュニケーションを取り、顧客との信頼関係を構築していく必要があります。
カスタマーサクセスは、カスタマーサポートとは異なり、能動的に顧客へとアプローチしていくことになるため、カスタマーサクセスを担う人材には高いコミュニケーション能力が求められます。
もしも、コミュニケーション能力が低い人材を配置してしまうと、高頻度にコミュニケーションを重ねても十分な効果は得られないでしょう。
また、顧客が抱える課題を発見し、それを解決するスキルも必要です。
顧客からのヒアリングで得られる情報の中には、顧客自身も気が付いていない課題や問題が潜んでいることも少なくありませんが、それらを汲み取ることができれば顧客からの信頼度は高まるでしょう。
加えて、発見した課題に対する適切な解決策を提案する能力も求められます。
場合によっては、一つの部署だけでは解決が難しいこともあるため、複数の部署にまたがった解決策を講じなければいけないケースもあります。
カスタマーサクセスには、このような柔軟な対応ができることに加えて、部署間の連携を円滑にする調整力が備わった人材が必要です。
さらに、カスタマーサクセスでは、顧客の利用状況に応じて適切なアプローチをしていく必要があるため、利用状況を把握できるデータを分析するスキルも求められます。
加えて、上記の通りカスタマーサクセスを成功させるためにはKPIを設定する必要があるので、KPIに設定した指標を分析する必要もあります。
これらのスキルを全て備えた人材を確保することは難しいものの、カスタマーサクセスを担う人材の選定は慎重に行いましょう。
カスタマーサクセスツールの種類
また、カスタマーサクセスツールを活用する場合は、自社に合ったツールを選ぶことが大切です。
一口にカスタマーサクセスツールと言っても、カスタマーサクセス管理ツール・チャットボットツール・FAQツール・コミュニティ管理ツール・NPSツールといった種類があります。
カスタマーサクセス管理ツールは、導入支援から利用促進、アップセルやクロスセルに至るまで、カスタマーサクセス全般を支援してくれるタイプのシステムです。
顧客の健康状態を表すヘルススコアを算出してくれるため、優先的にアプローチすべき顧客が可視化されるという特徴があります。
また、解約につながりやすい顧客やアップセルが期待できる顧客を把握することも可能です。
チャットボットツールは、顧客からの問い合わせに対して自動回答してくれるシステムです。
特に、導入支援の際に役立つシステムで、カスタマーサクセスの工数を削減する効果が期待できます。
なお、チャットボットツールは導入企業が多いため、導入することで得られるプラス評価よりも、導入しないことによるマイナス評価の方が強いという側面があります。
FAQツールは、チャットボットツールと似たような効果が期待できるツールです。
いわゆる「よくある質問」を整理して、顧客に対して適切な回答を用意する際の支援をしてくれます。
コミュニティ管理ツールは、主に利用促進の際に活躍するシステムです。
セミナーなどのコミュニティイベントがどの程度効果があったのか、顧客の活用度合いがどの程度進んでいるのかといったことを確認できます。
NPSツールは、NPSの測定を支援してくれるシステムです。
NPSの測定方法はシステムによって異なり、メールで送信したアンケートに回答してもらうシステムもあれば、Web上で回答してもらうシステムもあります。
このように、カスタマーサクセスツールには様々な種類があるので、自社に必要な支援を明確にした上でツールを選ぶようにしましょう。
以上のポイントを押さえておけば、カスタマーサクセスが失敗するリスクを軽減することが可能です。
カスタマーサクセスは、顧客と企業の双方に大きなメリットをもたらしてくれる活動で、サブスクリプションやSaaSといったビジネスモデルの成功には欠かせない取り組みと言っても過言ではないので、ぜひ導入を検討してみて下さい。
投稿者プロフィール
- コールセンター運営歴10年以上。
オペレーター、SV、マネージャー、センター長まですべてを経験。
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