コミュニケーションの見直し
気の緩みの削減
テレワーク中に気になることの1つといえばさぼりで、コミュニケーションを見直すことが防止に繋がります。
テレワークは従業員が異なる場所で働いており、非対面の時間が多いことから、見えないところでさぼりが発生しやすくなるものと思われます。
この為、コミュニケーションを意識した業務の進め方をすることで、従業員の気の緩みが発生する可能性を減らすことができます。
コミュニケーションの見直しは、誰かがさぼっているのではないかという、管理職の疑心暗鬼を解消するのにも役立ちます。
コミュニケーションを見直すにはまず、発生原因から考えることが大切です。
一番はやはり上司の目が行き届きにくくなったり、従業員同士がお互いに監視する仕組みがないことだといえるでしょう。
つまり、上司に見られていないので少しくらいさぼっても構わない、周りに誰もいないので気が緩む、そういう思考の繰り返しがさぼりが悪化する恐れとなります。
チーム全体で皆さぼるようなことがあれば、業務の効率が低下してテレワークが失敗という結果になりかねないです。
このように、事態の放置はチームの崩壊を招きますから、速やかにコミュニケーションを見直して発生そのものを防ぐことが必要です。
防げる誘惑
テレワーク中は管理者による従業員のパソコン操作の監視が行われ、例えばマウスが一定時間止まればさぼっているとみなす企業もあります。
しかし、テレワークといってもパソコンを使う作業ばかりではなく、資料や書類などに目を通していれば、5分や10分が経つのも珍しないです。
これは時間の経過だけでは従業員がさぼっているかどうか判断するのは難しく、あまり良い方法とはいえないです。
2020年に行われたアンケート調査では、管理職の半数以上が部下のさぼりを不安視していることが分かりました。
逆に、7割の管理職はテレワークを部下の自己管理を習慣づける機会と考えています。
他の調査においては、年代が高い人ほど他の人がさぼっているのではと思う傾向が判明しました。
実際にテレワークでさぼったことがある人は多く、これも調査で約7割の人が経験があると答えています。
内容は動画の視聴やゲームに漫画といったもので、昼寝やお菓子を食べるなど様々です。
中にはやむを得ずさぼる結果となる、泣き出した子供の面倒という理由もあります。
理由は人によって異なり多岐にわたりますが、1ついえるのは他の人とのコミュニケーションが希薄になった時にさぼりが発生するということです。
コミュニケーションが希薄になると誘惑に負けてしまい、動画を見たりお菓子を食べるといった行動に至ると考えられます。
他にもテレビを見ながらのながら作業、仕事とは関係のない作業や飲酒もありえます。
飲酒はオフィスであれば簡単に発覚するものですが、テレワークだとそれが難しくなります。
特に、在宅で仕事となると身近なところにお酒があってもおかしくないので、アルコールの誘惑に弱い人が仕事中に飲酒することは十分に想定できます。
モチベーションを安定させるには
テレワークで発生するさぼりを防ぐには、自宅にいても仕事モードに切り替えて、適度な緊張感で業務にあたることがポイントです。
その方法がまさにコミュニケーションの見直しで、コミュニケーションを図り信頼関係を築きつつ、お互いが近くにいると感じられることが大事です。
まずは上司と部下が1対1で行う1on1ミーティングにより、業務の目標を確認したり、具体的な進捗状況を把握するのが良いでしょう。
1on1ミーティングとはいわば面談のことで、部下が上司に仕事上の相談をしたり、上司が部下にアドバイスをするといった機会になります。
上司は部下が抱えているもの、内面にも目を向けることができますし、部下は上司が自分のことを見てくれているという安心感が得られます。
1on1ミーティングで大切なのは1対1での面談が約束されること、それから信頼関係の構築に努める2点です。
仕事以外の他愛のない話をするのもコミュニケーションの潤滑油になりますし、些細なことでも言葉を交わして関係をつくることがさぼりの防止に結びつきます。
部下も仕事の目標や進捗を再確認する切っ掛けになりますし、モチベーションが上がったり保てることにもなるでしょう。
コミュニケーションは上司と部下の間だけでなく、従業員同士においても当然ながら重要です。
うまくITツールを使い分けて
ITツールの活用は有効で、社内コミュニケーションに適したツールの活用がモチベーションの維持と、さぼりを防ぐことになります。
チャットはメールと違って堅苦しくなる必要がなく、短文でも気軽にメッセージを送れるのがメリットです。
カジュアルにコミュニケーションを図ることができれば、悩みや不満なども他の人に伝えられますし、共感が得られれば悩みが薄まったり不満が解消されることもあるでしょう。
こういうコミュニケーションこそが問題の発生を防ぎ、ひいては休職だったり離職を防ぐことにもなるはずです。
ただ、顔の見えないコミュニケーションばかりだと、やはり従業員の孤独感は拭えないので、顔を見ながらコミュニケーションをすることも肝心です。
顔が見えるテレワーク向けのコミュニケーションといえば、複数人が参加できるWeb会議です。
Web会議自体はもはやビジネスの定番で珍しくありませんが、テレワークにおいては上司や部下、従業員同士の関係構築や改善に活用できます。
確かにWebカメラを通した画面越しに見える表情は、直接対面するのとは違いますが、それでもテキストだけで図るコミュニケーションとは格段に情報量が異なります。
Webカメラの映像でも表情を捉えたり変化に気がつくことはできますし、悩みを抱えてそうな相手に尋ねたり、話に耳を傾けて解消を確認するといったことが可能です。
テレワークは従来のオフィスとは文化が異なり、コミュニケーションから見直す必要があるといえます。
さぼりを防ぐポイントは遠隔で遠くにいても他の従業員の存在が感じられること、チャットやWeb会議をフルに活用して信頼関係を構築、気の緩みを発生させないことです。
強力な監視による対策は、従業員が過度に緊張してポテンシャルを発揮できない恐れがありますから、緩くなり過ぎない程度にコミュニケーション重視で対策するのが正解です。
疑似的にオフィス環境に近い状態をつくる
重要なのは雰囲気の切り替え
在宅で仕事をするテレワークは、これまでだと仕事とプライベートを切り替える場所で作業をすることになるので、いざ自宅で仕事を始めても切り替えが上手くいかないものです。
小さい子供がいれば気配を感じたり声が聞こえることもありますし、赤ちゃんが泣き出せばたちまち仕事からプライベートに引き戻されます。
それと仕事中に常に家のニオイがすることも、テレワーク中の気の緩みに繋がります。
自分や家族のニオイというのは、本来は安心を感じさせてリラックスに導くニオイですから、仕事中に嗅げば気が緩むのも当然です。
このニオイによるさぼりは思いの外見落としがちで、コミュニケーションの見直しなどで他の対策をしても、ニオイがある限りさぼりのリスクが残り続けます。
ニオイを含めてテレワーク中のさぼりに対処するには、擬似的にオフィス環境を再現する、あるいはそれに近い状態をつくるのが効果的です。
オフィスで緊張感を保つことができたり、仕事に集中できるのは周りに人がいるからで、上司に見られていると感じることもその理由の1つです。
それからニオイや空気感といった雰囲気の違いも、緊張感や集中力のアップに結びつきます。
オフィスにいると気持ちが切り替わる、これはそういった要素が環境を形づくっているからで、実際のオフィスに近い環境を再現できればさぼりにくくなるはずです。
環境と時の流れの関係性
テレワークで気が緩むのは上司と部下、従業員同士の顔が見えにくいのが原因ですから、Webカメラでお互いの顔が見える環境をつくるとオフィスに近い感覚での働き方が実現します。
Web会議ツールで従業員が集まる機会を設けるのも良いですし、時間を決めて定期的に行うようにすると、擬似的にオフィス環境を再現できて緊張感が保てます。
ただし、常にWebカメラONでカメラの前にいなければいけないとなると、常時監視になってしまい仕事の効率が下がる逆効果になり得るので要注意です。
プライバシーは決して軽視できませんし、実際のオフィス環境でも一定のプライバシーは約束されるわけですから、コミュニケーションが大事といっても常時監視は避けたいところです。
擬似的にオフィス環境に近い状態をつくる上でのポイントは、会議や昼食中に集まって、会話をしたりコミュニケーションを図る習慣づくりです。
自宅でテレワークとなると、環境もさることながら時間の流れの感じ方が曖昧になり、結果として気が緩んだりさぼり気味になります。
しかし、時間を決めて、それも定期的に集まる決まりがあるとなれば、時間の経過で集中力が低下するように緊張感が薄くなることはあっても、モチベーションを回復したり保てます。
WebカメラやWeb会議は、擬似的なオフィス環境づくりに欠かすことができないツールで、これらの活用がさぼり防止の鍵を握ると言っても過言ではないです。
従業員は在宅で仕事をするのであれば、自宅の一室を仕事用に割り当てて、オフィスを思い浮かべながら再現するように環境づくりをすることをおすすめします。
例えば家族の物や趣味の物を室内に置かない、テレビやゲーム機といった気が散る物を他の部屋に移動するなどが挙げられます。
具体的にどう環境づくりをすれば良いか分からない場合は、仕事中に上司に見られても恥ずかしくない環境をイメージして部屋に手を加えるのが良いでしょう。
重要なのはWebカメラの前だけでなく、カメラに映らない見えない部分についても、見られても大丈夫なようにオフィス環境に近い状態をつくることです。
少しの工夫で出来る再現
もう1つのポイントはやはりニオイで、オフィス環境のニオイを再現するのは難しいとしても、自宅のニオイをテレワーク部屋に持ち込まないことが大事です。
アロマのように香りをつける方法も1つの手ですが、あまりに良い香りだとリラックスし過ぎてしまうので、なるべく甘くない香りが無難です。
大切なのは意識や気持ちの切り替えですから、擬似的にオフィス環境にいる感覚になれるのであれば、どのようなニオイでもOKとなります。
オフィス環境の再現というと無味乾燥な空間をイメージしがちですが、確かに何もないところから空間を構築していけば、やがてオフィスに近い雰囲気が再現できるはずです。
デスクの上にある物をテレワーク部屋のテーブルの上に置いてみたり、自分の席の周りにいる人を忘れない為に、同僚の顔写真を貼ってみるのもありです。
また、オフィス環境に近い状態というのは雰囲気に加えて、業務のやりやすさについても当てはまるポイントです。
自宅とオフィスは勝手が違うわけですが、このギャップをいかに埋められるかも重要なことです。
デスク上や引き出しの中など、席についた時に手の届く範囲に何があるかを思い出し、それらを再現してみるのもおすすめです。
限定しないテレワーク
テレワークはオフィスに出社せず、遠隔で仕事をすることを意味しますが、必ずしも自宅で仕事をする在宅業務とは限らないです。
人によってはカフェで仕事をしたり、サテライトオフィスで作業ということもあるでしょう。
カフェは気分転換に良いですが、公共の空間なので流石に自分好みに環境をつくるのは難しいですし、オフィス環境の再現となると困難です。
この為、周りに自分と同じく仕事をしている人がいるカフェを選んだり、周りの人達を会社の人に見立てて緊張感を保つなどの工夫が必要です。
とはいえ、コーヒーの香りがしたり話し声が聞こえてくれば、仕事に集中しようとしても集中力が削がれてしまいがちです。
カフェにはこのような誘惑や落とし穴がありますから、仕事に適したカフェを選んだり、いわゆるブースで作業できる環境で仕事をするのが得策です。
公共の空間でも擬似的にオフィス環境を再現する為に、Webカメラや同僚の写真を持ち歩くのはありです。
他人の写真を持ち歩く場合はプライバシーの配慮が不可欠ですが、いつでもサッと取り出して置けるようにしておけば、どこでもすぐにオフィス環境が再現できます。
Webカメラで常に顔が見られるのが苦手な人でも、マイクを常時ONにして音声でコミュニケーションを図れるようにすることで、同様に擬似的なオフィス環境に近い状態がつくれます。
上司や他の人達の同意や協力は必要ですが、自分の工夫や努力とお互いの協力によって、仕事をする環境をオフィスに近づけることは可能です。
勤務ルールの見直し
時間よりも内容の濃さ
テレワーク中にも勤務ルールは重要ですが、テレワークの方がむしろ重要性は増すといえるでしょう。
実際のところ、テレワークに関する調査では約9割の人が進捗や成果で仕事をしていること判断していると答えています。
逆に労働時間で判断している人の割合は圧倒的に少なく、10%未満に留まります。
このように事実として時間よりも仕事の進み具合、成果で仕事ができているかどうか判断が行われている実態が分かります。
テレワークにおけるさぼりについても、進捗の報告や成果物のみで判断されるケースもあれば、労働時間の長さで判断が行われるケースもあります。
しかし、人によって業務内容は異なるものですし、単純に労働時間が長ければさぼっていないとも言い切れないわけです。
仕事ができる人は短時間で成果を出しますし、誰よりも早く業務を終えたことが他の人達からはさぼって見えることもあるでしょう。
何をもってしてさぼっているか明確な判断基準がないと、真面目に仕事をしているのに誤解されたり、反対にさぼっているのに見過ごされる人が出てきます。
これらは曖昧なルールによる認識のズレが問題なので、勤務ルールを見直して画一的に判断するのを止めることが大切です。
テレワークは、人それぞれが柔軟に働ける環境を構築するチャンスですから、これまでの物差しだけで判断すべきではないです。
判断材料は多方面からの味方次第
勤務ルールを見直すコツは従業員ごとに勤務時間を設定したり、労働時間が短くても業務の進捗に滞りがなければさぼりとはみなさず、成果を出していれば問題ないとするなどです。
勤務時間を柔軟に設定するフレックスタイムは、既に導入している企業ではお馴染みでしょう。
労働時間が長ければ仕事をしている、もしくは労働時間が長い人ほど偉いという認識は古いです。
これは年代が上の人に見られる傾向ですが、比較的若い人たちの間でも、こういう認識が広まったり定着しています。
この為、従来の当たり前の認識を変えることも含めて、テレワークでは勤務ルールを見直すことが必要になります。
労働時間がただ単に長くなると、次第に集中力が低下して無駄な時間が増えます。
長さが成果に結びつかないばかりか、さぼりが発生しやすくなるので気をつけたいところです。
特にテレワーク中は周りに誘惑が多いですから、労働時間の長さだけで仕事ができていると判断するのは危険です。
従業員を常時監視するのは現実的ではないですが、労働時間に加えて成果も評価することで、多角的に判断する必要があるでしょう。
昔ながらと現代の融合がカギ
より現実的なのは、単純な労働時間での評価を止めること、誰もが納得する形での評価に移行するやり方です。
勤務ルールの見直しは、言うだけと実際にやるのとでは大違いですが、いずれにしても従来のルールをそのままテレワークに当てはめるのは難しいです。
勤務ルールが古いままだと、上司は部下の働き方を適切に判断できず、誤った判断でさぼりと認定してしまう恐れがあります。
部下もこれまでのルールに縛られてしまい、テレワーク時代にもオフィスの働き方を続けてしまいがちです。
しかも、オフィスの勤務ルールで在宅勤務はギャップを生むので、従業員は時に困惑したりどのように働けば良いか悩んでしまいます。
これもさぼりに繋がる要因の1つですから、疑問を抱くことなく業務に集中できるようにやはり勤務ルールは見直すべきです。
仕事をしている判断基準、さぼりとみなされる判断基準が明確なら、従業員はさぼっていると思われないように気をつけて仕事をします。
隠れてさぼる悪質な人も中にはいるでしょうが、大半は自分の評価を下げてしまわないように注意して業務に励むでしょう。
テレワークに合わせた勤務ルールの見直しは決して簡単ではありませんが、見直さないという選択肢はないと考えられます。
一気にルールを変えるのは難しいとしても、少しずつテレワークに即したルールというものを考えたり、変えていくことが必要になりそうです。
結局のところ、仕事は成果を出してなんぼですから、成果を見て仕事ができているか判断するのは合理的です。
バランスの取れた見直し方法
この事実と柔軟な働き方が求められるテレワーク向けの働き方を検討すると、フレックスタイムがやはり有力な選択肢になります。
導入済みの企業においても、テレワークに合わせて勤務ルールを見直すことは大事です。
上司や部下、同僚の様子が見えない時間が増えるテレワークだからこそ、勤務ルールはより明確にすることが不可欠です。
既存のルールを見直すのも簡単ではないですが、仕事の振り分けや評価方法を見直すことは、テレワークでも成果を出したりさぼりを防ぐことになるでしょう。
コミュニケーションにも通じる部分ですが、テレワークは周りに人がいなかったり画面越しに他の人と関わることになるので、曖昧で緩いルールだと簡単にさぼりが発生してしまいます。
ただ、厳しくし過ぎてもモチベーションに影響したり、業務の効率が低下することになり得ますから、テレワークを念頭にバランス良くルールを見直すことが求められます。
最適なルールは業界や業種、企業風土などにもよりますから、絶対に正しい答えというものはないです。
とはいえ労働時間の長さで評価したり、労働時間が短いからとそれだけでさぼっていると判断するのが間違いなのは確かです。
定期的に進捗を確認して問題なく進んでいればさぼっているとはいえませんし、期日までに成果物が上がってくれば、上司は部下が真面目に仕事をしていると認めざるを得ないでしょう。
労働時間という基準や、働く様子といった曖昧な物差しでは、テレワーク時代の従業員を正しく評価することはできないです。
勤務ルールの見直しはもはや決定事項で、後は具体的にどのような見直しをするか考える段階にあるといえます。
いわゆる所定労働時間はあるとしても、時間をどう配分してどのように働くかは、ある程度柔軟に決められるようになっていた方が良いです。
テレワークは柔軟な働き方で業務効率を上げられる仕組みなので、これまでと同じような働き方で従業員を労働時間で縛るのは勿体ないです。
完全に従業員の自由にするのは違いますが、自由度の高い働き方ができる勤務ルールを設けることで、従業員のさぼりを防ぎつつポテンシャルが引き出せるようになるでしょう。
仕事の振り分け方も「ジョブ型」へ
明確な仕事の線引き
テレワーク時代においては、仕事の振り分け方もこれまでとは違ったものを取り入れることができます。
とりあえず従業員を採用して仕事を振り分ける従来のやり方は、メンバーシップ型といいます。
近年は業務の範囲を先に定めて、業務に適した人材を雇用するジョブ型が注目を集めます。
ジョブ型は企業が職務や勤務地、時間などの条件を明確に決めてから、この条件で雇用契約を結ぶという仕組みです。
雇用契約で職務や勤務地などが決まりますから、例えば部署の異動や転勤、勤務時間の変更などもないわけです。
同時に昇進や降格もないですが、働く人にとっては決まった条件で働ける安心感があります。
テレワークでこのジョブ型が注目を集めているのは、テレワークだとコミュニケーションが希薄になりがちで、従来のメンバーシップ型では従業員の管理が難しいのが理由の1つです。
メンバーシップ型が適しているのは、その場その場で仕事を振り分けることができる、オフィスでの業務です。
リアルタイムかつ柔軟に仕事を従業員に割り当てられるので、オフィスに出勤して仕事をするならメンバーシップ型の方が最適です。
ところが、テレワークではリアルタイムのコミュニケーションが難しく、全体を見てそれぞれに仕事を割り振るのが難しいのは明白です。
メンバーシップ型の仕事の振り分けは、一人ひとりの職務の範囲や責任が異なる状況が許容される場合に有効で、テレワークには不向きだといえます。
テレワークの仕事をメンバーシップ型で運用すると、誰が何をするのか不明瞭になりやすく、手抜きやさぼりが発生する可能性を高めます。
部下は、上司が細かく見ていないので手を抜いたりさぼれるという認識が生まれ、同僚に対しては誰かが仕事をやるだろうという甘えが生じます。
誰もが同じような考えになってしまえば、業務は進まず成果は上がらず、テレワークでアップするはずの効率が低下してしまいます。
そこで注目されているのがジョブ型で、テレワークに取り入れ始めている企業も少なくないです。
ジョブ型はメンバーシップ型と違って仕事を振り分ける自由度こそ低いですが、曖昧さが生じにくく従業員同士の不公平感もなくなります。
誰が何をするか明確にしてそれぞれが仕事に取り組めますから、自分がやるべきこと、同僚がやる仕事の線引がハッキリします。
これはさぼり防止にも有効で、先に従業員一人ひとりの業務の範囲が決まりますから、あれもこれも忙しいなどの言い訳は通用しないです。
メリット、デメリットは使い方次第
上司は従業員を見れば何を業務としているか簡単に把握できますし、取り組むミッションや仕事の目標、進捗状況なども手に取るように分かります。
従業員は他人任せにできない責任感が生まれますし、上司には成果の評価やさぼりの判断がしやすくなるメリットがもたらされます。
他の従業員も、同僚を見て仕事の進み具合やさぼっているか否かが分かりますから、テレワークにありがちな緩みが解消します。
メンバーシップ型が定着している企業だと、ジョブ型にシフトするのは難しそうですが、部分的にジョブ型を取り入れることでさぼり防止に活かすことができます。
この発想は業務管理に有効で、チーム全体の仕事を従業員に振り分けたり、明確な形で分担させるのに役立ちます。
従業員一人ひとりの特性を見て振り分けられますし、業務の範囲が明確になることから、上司にとっても部下にとっても仕事がやりやすくなるはずです。
より小さい業務の単位で雇用関係を結ぶタスク型というやり方もありますが、これは短期的な契約や単純な業務向きなので、テレワークにはあまり適さないです。
ジョブ型をテレワークに取り入れるメリットには、企業が専門性の高いスキルを持った人材を採用できたり、専門性を活かしたい人が働けるマッチングの実現が挙げられます。
それから、明確な目標を目指して仕事に集中できたり、モチベーションを保ちやすいメリットもあります。
従業員は急に異動が言い渡される心配がありませんし、自分の仕事に取り組み成果を出せば良いので気が楽です。
これらから見えてくるのはさぼりが発生しにくい仕事環境で、メンバーシップ型では難しいと思われていた理想的なテレワークの実現です。
勿論、ジョブ型にも契約の範囲を外れる業務ができないこと、属人化が進みやすいなどのデメリットもあります。
チームワークがメンバーシップ型ほど醸成しないデメリットも存在しますが、メリットとデメリットを天秤に掛ければどちらがテレワークに適しているかは明らかです。
納得できる働き方
ジョブ型は日本よりも欧米的な働き方のスタイルで、注目が集まり始めたのはテレワーク時代に入ってからなので、普及したり定着するのはまだ先になりそうです。
ただテレワークの普及次第では、急激にメンバーシップ型からジョブ型に移行が進むことも十分にあり得ます。
実は大手企業が導入する事例が増えており、中でも海外でも事業を展開するグローバルな企業に多く見られます。
先行している事例ではまず管理職や役員のジョブ型雇用が多く、テレワークにシフトしながら国際競争力をつけていることが分かります。
中には新卒社員の初任給制度を廃止したり、能力重視で給与が決まる大胆な改革に乗り出した企業もあります。
その改革の1つがジョブ型雇用で、従業員の職務の範囲を明確にして市場を参考に報酬を設定するというスタイルです。
ここまでできる企業は限られるでしょうが、いきなりジョブ型雇用にシフトしなくても、仕事の振り分けにジョブ型の考え方を活かすことは可能です。
従業員ごとに職務の範囲を定めたり、範囲内で仕事を割り振り目標を設定して成果を目指す、このようなやり方を取り入れればテレワークがやりやすくなるでしょう。
従業員のさぼりは上司の頭痛の種ですが、さぼりが発生するのは職務の範囲が曖昧で進捗状況が見えにくく、成果の評価が難しいことが原因です。
ジョブ型はメンバーシップ型の曖昧さを排し、進捗の把握や成果を明確にすることができます。
従業員はスキルが求められますし、業務の内容で報酬は決まりますが、ジョブ型の考え方が浸透していけば誰もが納得してさぼらず働けるようになるものと思われます。
定性評価よりも成果型の定量評価重視へ
評価方法の重要性
日本的な企業では、上司が部下を見て評価する定性評価が定着しています。
定性評価は数値化できない部分を評価対象とするのが特徴ですが、これはメリットにもデメリットにもなります。
メリットは具体的な数字などの成果だけでなく、働く姿勢や意欲、帰属意識なども評価の対象に含まれることです。
一方のデメリットは、評価基準が曖昧で成果を出していない人が高く評価されたり、逆に成果を出していても低く評価される恐れがあるなどです。
何より上司の心証次第で評価が変わってしまうので、評価を受けた従業員は理不尽に感じたり、他の従業員と比べて不公平感を覚えることになり得ます。
これまでは定性評価で上手くいっていた企業も、テレワーク時代には安心していられなくなるでしょう。
テレワークではお互いのことが分かりにくくなり、上司が部下の働きを見守ったり把握するのがこれまで以上に難しくなります。
ひと度誰かが評価を不公平に感じると口にすれば、瞬く間にチーム全体に不信感が広がることになるはずです。
テレワークはある意味でお互いのことを鈍感にさせますが、評価という点においては敏感になりがちです。
自分の働きがしっかり評価され認められるのか、そんな不安を感らではじなが持てるスキルを活かせずポテンシャルは発揮できないです。
従業員の能力を引き出して成果に結びつけるには、評価方法そのものを見直すことが何よりも重要です。
難易度の高いバランス感覚
成果型の定量評価は数字で評価をする方法で、例えば目標に対して何%達成できたかなどが評価対象となります。
評価を定性ではなく定量性を重視すると、評価基準が明確で評価する人がやりやすくなったり、評価を受ける人が納得できます。
周りの人達も納得できますから、従業員の不公平感がなくなる結果にも至ります。
評価する期間を設定すれば目標も設けやすく、どれだけ達成できたか確認したり評価するのも容易です。
期間は1日や1週間、あるいは1ヶ月といった異なる長さを設定して評価が行えます。
定量評価の対象は売上や成約件数、工数などが代表的で、いずれも数値化で判断して数字できるものです。
あえて数値化しないで評価する柔軟な対応も可能ですから、定量評価は定性評価と比べて扱いやすいです。
ただし定量評価を重視し過ぎると偏重していまうので、評価する側にバランス感覚が求められます。
定性評価では持っている能力や実際に起こした行動、内面的な部分が従業員の評価に反映される傾向です。
業績だけが評価されるわけではないので、成果が出せなくても理由があれば考慮されますし、能力が低い人も上司の裁量で実際より高く評価されることもあります。
これが良いのか悪いのか判断するのは難しいですが、少なくともテレワーク時代に定性評価で従業員を評価するのが難しいのは間違いないです。
成果と同じくチームワークを大切に
定性評価が定量評価と比べて人間性が評価しやすかったり、人情味のある評価ができるのは確かでしょう。
しかし、現代は人情だけで評価する時代ではなく、成果を出す人が評価されるべき時代です。
成果とはいわば企業に利益をもたらすことで、企業の利益が従業員の給与になることを考えれば、成果が重視されるのは当然です。
激しい競争にさらされるグローバル企業の間で成果型の定量評価が進んでいるのも、それだけ成果を評価する重要性が増した証拠です。
定量評価を重視する企業が増えれば、日本国内のみで事業を展開している企業であっても、定量評価を無視することはできなくなるでしょう。
成果型の定量評価重視は、従来の定性評価を完全に捨てるという意味ではなく、あくまでも重視するという意味に留まります。
ただ、テレワークに定性評価は向かないこと、成果の重要性が上がっていくことを考慮すれば、成果型の定量評価が重視傾向になることは避けられないです。
定量評価も偏重が過ぎると、成果主義に走りやすくなってしまうので注意が必要です。
成果主義は一見すると評価基準が分かりやすく、メリットばかりだと思われますが、チャレンジ精神が損なわれるデメリットがあることが分かっています。
結果が出せない従業員は焦りでミスしやすくなりますし、ネガティブ思考が生じて悪循環に陥れば、疲弊して休職や離職ということにもなり得ます。
単純に成果の数値だけでは評価が難しい部署もあるので、成果主義偏重は避けるべきですし、成果型の定量評価を重視するにしても改めてバランスが重要だとえいます。
定量評価は上手く運用されればテレワークのさぼり防止になりますし、上司と部下や従業員同士の信頼関係構築にも役立ちます。
問題になるのは行き過ぎた定量評価重視で、評価に差がある従業員の間に距離が生まれたり、チームワークが希薄になることが懸念されます。
やがて成果が全てになってしまい、ノルマの達成が目的に変わり、同僚や取引先を軽視するといった問題にも繋がります。
これではチームワークが重要なテレワークは上手くいきませんし、チームどころか会社全体のデメリットになってしまいます。
テレワーク時代は定性評価のままではいられませんが、成果型の定量評価重視もバランスを考慮して取り入れたり、考えて運用する必要があるでしょう。
適正な評価方法
評価方法には一長一短がありますから、どちらか一辺倒ではなく、良いところを上手く取り入れて活用するのが望ましいです。
バランス感覚に優れる成果型の定量評価は、成果物が評価対象になるので、適正に評価してもらえる安心感や目標に向けて取り組むモチベーションが生まれます。
上司は目標の達成度や成果で部下を評価できますし、さぼっているかどうかの判断もしやすいです。
評価から曖昧さが取り除けますから、信頼関係を構築したり高めて維持することが容易になります。
上司がさぼりを危惧したり、さぼっていると思われる部下の疑いがなくなるので、余計なことに気を使ったり業務に取り組む集中力を損なわずに済みます。
さぼりは確かに褒られるめものではありませんが、さぼりの疑いに不安を覚えたりストレスを感じることもまた問題です。
このような疑いが生じる理由は曖昧になりがちな仕事をしているという定義にあるので、基準が明確な評価方法を取り入れれば解決します。
その答えの1つがまさに成果型の定量評価で、定性評価の欠点を補うことができる注目の評価方法です。