アウトバウンドの考え方を切り替える
コールセンターの業務の
コールセンターの業務のうちメインとなるのは、大きく分けてオペレーターがお客様宛に電話をかけるアウトバウンドと、お客様からの電話を受けるインバウンドの2種類です。
企業の営業活動として定着してるのはアウトバウンドですが、インバウンドの存在も不可欠であり両者の特徴をしっかりと把握した上で業務を行うことが大切です。
アウトバウンド
企業から発信するアウトバウンドは、お客様の視点に立つと突然の出来事となります。
電話をかける側は営業をかけるという目的がありますが、受け手側は青天の霹靂と言っても良いでしょう。
言い替えれば相手の都合を考えない状態で電話をかけている、という風にもとれます。
近年は在宅率が低下しておりご本人となかなか話せないばかりか、すぐに切られてしまうことも少なくありません。
アウトバウンド自体に拒否感を抱く方も多く、実際に本題に辿り着ける例はかけた本数の中のほんのわずかな確率となってしまいます。
その少ない可能性から、いかに成果を拾い上げていくかということを強く意識することが大切です。
インバウンド
一方インバウンドは、お客様が明確な意志を持って電話をかけて来ています。
製品やサービスを利用する前や、利用中に浮かんだ疑問やトラブル・悩みの解決策を求めてかけてくることが多いです。
そのためアウトバウンドよりも心理的な距離が近い状態であり、直接的な問題解決のみならず潜在的なニーズまで引き出すことが可能です。
ただ単に持ちかけられた問題を適切に処理するだけではなく、他に問題や興味を持っていないかをチェックすることが必要となります。
この潜在的なニーズに気付くには、お客様の発する些細な言葉も逃してはいけません。
心理的な距離が近いとは言え、まだまだ心を許していない状態では本音を引き出すことは困難だからです。
しかし相手は人間であるため、ふとした瞬間にニーズの断片を漏らしてくれます。
慣れてくるとお客様が本音をこぼすタイミングが何となく分かるようになりますが、こればかりは数をこなしていくしかありません。
ポイントとしては業務の時だけでなく日頃からアンテナを張り巡らせて、あらゆる人の些細な欲求や不満をこぼす瞬間をキャッチする訓練をしてください。
もちろん日々の業務をこなしながら、適切なトーク内容の整備をしたり実践的なトークスキルを磨くことも忘れてはいけませんが、人が発する意図を敏感に察知する能力を磨くことに注力しましょう。
考え方を変えてみよう
ここまで両者の違いを比べてみて、アウトバウンドがいかに難しいものであるかが分かったのではないでしょうか。
コールセンターで行う業務、すなわち架電の目的はその多くが商品やサービスの案内と、セールスへの発展です。
しかし先述の通りインバウンドに比べて心理的なハードルが非常に高くなっているため、お客様からのあまりに冷たい対応に心が折れそうになる方も多いはずです。
いくら好きな会社の製品やサービスを広めるためだとは言え、同じ人間である以上心は疲弊していきます。
そのまま何も対処しないで続けていれば、精神面の健康にも良くありません。手ひどく断られる上に、1つも成果が出ないとあってはさらに辛くなってしまいます。
そこで少し、アウトバウンドに対する考え方を切り替えてみましょう。
架電の本数を増やす方にシフト
本来のコールセンター業務であれば架電する目的は、製品・サービスを案内してビジネスに繋げるというものが主体ですが、このハードルを下げて商品やサービスに興味を持つ人を探すという風に考えます。
成約の数や良い返事を増やすのではなく、とにかく架電の本数を増やす方にシフトするという訳です。
そうすれば一度断られても、この人は興味がなかったから仕方がない、早く次のお客様に挑もうと考えることができます。
そもそも自己紹介や用件を伝えて話の本題へと移る、フロントの突破は難易度が非常に高いです。
加えてたくさん電話をかけることが出来たという事実は、小さな成功体験の積み重ねとなりとても大事なステップとなります。
成功体験の積み重ねは、自信を持ったり精神的に強くなる上で重要なファクターです。
これによって冷たいお断りを受けた際も、たくさん電話をかけたという成功体験が強みとなり、心のケアになります。
もちろんたくさん電話をかけるうちに、必ず興味を持ってくれるお客様が現れます。
何度も電話をして量をこなした時点で、断られる相手を見極められるようになる点も大きいでしょう。
断る空気を察して早めに引き下がり、有望なお客様には油断なくプッシュするということを繰り返していけば、自然に確率が上昇していきます。
1件かけて断られるたびに、全力で対応していては20件もこなした時点で心身共に疲れ果ててしまうため、メリハリをつけて全力を出す箇所を見極めることが重要です。
極端に言えば、話を聞いてくれる人にだけ全力を出し、少しも話を聞く気がない人に関しては一切追いかけないというぐらいの気持ちで良いです。
ただ1度程度の断り文句を言われただけで、引き下がっていては営業になりません。この際に望みがありそうであれば、必ず切り返しは行いましょう。
きちんと切り返しを行った上で、それでも脈がないと分かれば無理に粘る必要はないです。
話をきちんと聞いていれば自社の製品・サービスが、いかにお客様にとって良いものか分かるのに、これを聞かないのは損をしていると割り切ってしまうと良いです。
メンタルの大切さ
業務におけるテクニックや成果も大事ですが、メンタル面のケアも決して侮ってはいけません。
モチベーションが下がれば、いざという時に最高のパフォーマンスが出来ず、確率の高い見込み顧客を逃してしまうという事態を招きかねないからです。
気持ちのバランスを保った上で、自分なりにペースを守りチャンスが訪れたら全力で挑戦するという心がけが大切になります。
成果の高いインバウンドは、そもそも受付件数や申し込みなど結果の数字を即座に判断しやすいです。
それに対してアウトバウンドは1回の電話だけでは何も結果が得られず、明確な数字もなかなか出ません。
モチベーションを保ち、いつでも全力を出せるようにするには、こちらからの架電はそもそも断られて当たり前という認識へと切り替えるのが第一歩です。
架電の数をこなして少しずつ自信をつけていき、気持ちの入れ方を学びながら虎視眈々と成約を狙っていきましょう。
うまい架電って?
アウトバウンドの考え方を変えて、たくさん架電をこなすようになり何となくペース配分が掴めるようになったら、今度は成功率を上げることに気が向く方は多いでしょう。
社内で成果をあげているオペレーターを思い浮かべると、大抵がトーク力があり架電が上手いというケースが目立つはずです。
ただし学問やスポーツのように点数や勝敗といったような判断基準がある分野とは異なり、何をもって上手い架電かという明確な基準はありません。
強いて言うのであれば、トークが上手いと感じるオペレーターの会話を真似してみるという方法が挙げられます。
会話の真似してみる
今でこそ日本語をスラスラと話せて、お箸も何の苦労もなく使いこなすことが出来ていますが、幼少期には随分と苦戦したという方もいるのではないでしょうか。
小さい頃の記憶が薄れて思い出せないかもしれませんが、ご両親やご家族の真似をして覚えたという方がほとんどでしょう。
人間が何かを習得する際に最も効果的なのは、理想のイメージを思い浮かべることです。
それには身近なお手本を参照にして、真似をしてみるのが一番です。
会話や挨拶の仕方を、周囲の人を観察して真似しながら習得したように、お手本となるアポインターをしっかり観察して真似してみましょう。
他の人を参照にする、というだけでは身も蓋もないのでもう少しポイントを絞って見ていきます。
いざ架電と考えると身構えてしまいますが、契約を取るという高い目的を一旦忘れて単に会話をすると思ってみてはどうでしょうか。
電話による相手と自分との会話と考えると、色んなものが見えてきます。
そもそも遠く離れた相手と会話ができる電話というツールは便利であるものの、不便な点も多いです。
相手の顔が見えず音声情報でしか判断できない、という点は多くの方が見逃しがちなポイントとなります。
成果をあげられない方に多い問題点
テレアポでなかなか成果をあげられない方に多い問題の1つに、声が聞き取りにくいという点が挙げられます。
複数の要素
いくつかの要素が考えられますが、話すテンポが早すぎたり発音が曖昧だったり、声が小さかったり低くて聞き取りにくかったりなどの要因が一般的です。
せっかく良いトークをしていたり、製品が素晴らしくても聞き取りにくければ台無しです。
普段の会話ではなかなか意識できませんが、視覚情報を断つだけで一気に情報伝達が困難になります。
それだけに相手が聞き取りやすい話し方、発音やトーンが重要になります。
焦る気持ちを抑えてテンポはゆっくり目に、大きめの声ではっきりと喋るだけでも相手に伝わりやすくなるので一度試してみてください。
実際にお客様のところに訪問している気持ちで、元気よく明るめのトーンで話すことが大事です。
発音しにくい単語や、何度も聞き返されるワードは電話をかける度にメモを取っておくことも大切です。
アクセントや抑揚をつけることで言いやすくなったり、他のワードに置き換えることでこなせたりなど、それぞれ対処法が異なります。
相手の立場にになって
ここで薄々感づいている方もいるかもしれませんが、全て相手の立場になって話すことが何よりも大事ということです。
突然電話がかかってきて、誰からなのかも分からない上に暗いトーンで早口で喋っている相手の会話を、続けたいと思うかを冷静になって考えてみてください。
電話は相手の時間を奪う行為であるため、そのマイナス要素を巻き返さなくてはなりません。
それにはできるだけ負のイメージを払拭するべく、分かりやすく明快な声を相手に届けて不快に思わせないようにする必要があります。
もちろん最初から全て上手くこなそうとする必要はなく、第一目標としてお客様が聞き取りやすい会話をすることを心がけてください。
これだけで電話をいきなり切られたり、冷たい断り文句を返される確率が少し減ります。
もしハキハキと話すことに抵抗感がある方は、自分が喋っているのではなく頭の中で思い浮かべた人物を演じていると思い込むのも良いでしょう。
その人物像をイメージすることで、それに近付こうと心理が働き徐々にトークが改善していきます。
ただしメリハリを付け過ぎて、オーバーな話し方になると反対に不審に思われてしまうため程よいバランスを見極めてください。
スクリプトの活用
基本的なスキルをある程度得られたら、次はスクリプトの活用法です。
架電のマニュアルであるスクリプトは、渡された時点ではまだ完成形ではありません。
日々の業務をこなして架電を数多くさばいて行きながら、つまずいたポイントやお客様から聞かれて詰まった質問などを逐一メモしていきます。
そしてその疑問や問題の解決法を自分で調べたり、時には上司や同僚に聞きながら解消しスクリプトへと加えていくことが大切です。
スクリプトは台本や原稿、さらには下書きという意味を持ちマニュアルとは意味が少し違います。自分なりにカスタマイズして、台本をグレードアップさせていく必要があります。
加えてスクリプトをもらったからと言って、すぐにそれを片手に電話をしても会話はしどろもどろになるだけです。
その理由は、文書を読みながら相手に分かりやすく伝えるには技術がいるからです。
さらには相手は生身の人間であり、予想外の質問や会話もどんどん飛び出してきます。
マニュアルのような硬い文章を会話調へと翻訳しつつ、アクシデントに対処しながら上手いトークをするという複合的な技術が要求されます。
これを少しでも解消するには、事前準備が有効です。
スクリプトに沿った会話をするにはどんな喋り方・伝え方をするのか、どうすれば伝わりやすいのかを事前に練っておきます。
お客様からよく聞かれる質問についても記載したり、自分なりに疑問に思う箇所を記入しながら台本をバージョンアップさせるのも忘れないでください。
準備をしっかり行うことで会話に余裕が生まれ、お客様からの急な質問にも対応しやすくなります。
基本の会話術に加えて、スクリプトのカスタマイズと読み上げの練習を行うことによって、かなり架電は上手くなっているでしょう。
またトークの無駄を排除して、ブラッシュアップしておくことも大切です。
難しい用語を使わなければならない業界であれば特に、端的に概要を伝えられるようにすることで良い印象を持たれる確率が上がります。
肝心なのはこちらの伝えたいことを話すのではなく、相手の知りたいことを伝えること、相手の立場になって喋るということです。
アウトバウンドの話し方
ここまで架電をする上での、基本的なことをこなしてきました。
次はアウトバウンドの話し方について、じっくりと見ていきます。
相手への配慮
オペレーター側から見れば100本かけたうちの1本ですが、相手にとってはある日突然かかってきた1本の電話です。
相手はそもそも受けようと思って電話ではないので、原則として相手へきちんと配慮することが大前提となります。
最初から拒絶しているお客様には配慮をする暇もないかもしれませんが、少しでも聞く姿勢がある方や望みのある方に対しては配慮を忘れないようにしましょう。
アウトバウンドの話し方で有効なテクニックとなるのが、1分だけお時間を頂いても良いですかというワンフレーズです。
短く時間を区切ることにより、少し相手の許容範囲が広がります。
忙しそうな相手に特に有効であり、見込みがあれば話をすんなり聞いてくれる確率が上がります。
もし相手が興味を持って話を聞いてくれれば、1分を超えていても許されることが多いのも、このテクニックの特色です。
時間を限定することで、さらには短い単位をあらかじめ提示することにより、それぐらいなら良いだろうと心の隙間を作る技術はテレアポに限らず色んなシーンで有効であるため覚えておきましょう。
一歩進んだ話し方の技術
話し方についても、一歩進んだ技術を身につけていきます。
しっかりとした発音で、聞き取りやすいテンポで話すのが会話における基本ですが、もう一歩レベルアップするなら人柄がにじみ出る声のトーンを獲得すると良いです。
明るい人柄や気さくな雰囲気、笑顔で喋っている様子が想像できるトーンを身につけてください。
身の回りに、話を聞いてるうちに何故だかこちらも自然に笑顔になる人はいないでしょうか。
多くの場合こういう方は、人柄が声のトーンにそのままにじみ出ています。
そうは言ってもどうやって習得すれば良いか分からないという方は、電話をする時に身振りや手振りを加えてみてください。
お礼を言う時には頭を下げて挨拶をする時には手をあげたり、何かをお願いする時は目を閉じて顔の前で手を合わせる素振りをする、といった具合です。
業務中にやり過ぎると同僚の目が気になるでしょうから、普段のプライベートの電話の際に練習してみると良いでしょう。
身振りや手振りを足すだけで、自然と表情も付いて来るようになりそれに釣られて表情も豊かになってきます。
さらには表情に釣られて、声のトーンも豊かに変化していくという寸法です。
付け加えるなら、会話の間も意識すると大きく変わります。相手の顔が見えないという電話の特性上、どうしても人間は焦りがちになります。
焦ってしまうと早口になりやすく、一方的に喋ってしまい相手の反応が薄くなるという悪循環に陥りやすいです。
ある程度の技術を身につけて、スクリプトのカスタマイズも順調に進んでいればかなり会話に余裕が生まれます。
大胆なくらいに間を取るという勢いで、空白を意識しながらお客様と会話しましょう。
切り返しは重要なテクニック
営業の全般において、切り返しは非常に重要なテクニックです。
お客様との会話はスクリプトに沿って行うことが最もスムーズで、なおかつ成功率が高いものですが話が横道に逸れることもまた日常茶飯事です。
横道に逸れると聞くと雑談や脱線のように思えますが、そんな生易しいものばかりではなく思わずこちらが詰まってしまうような質問であったり、難易度の高い断り文句だったりとどれも一筋縄では行きません。
オペレーターが撃沈して架電が終わりそうな事態を好転させ、スクリプトへと戻り成約へと進ませるテクニックが切り返しという訳です。
何度か電話をかけているうちに、質問や断り文句が来るタイミングや内容の傾向が分かるようになります。
その都度メモをしておいて、切り返しの方法をシミュレーションしておきましょう。
大切なのは相手が断る際の、言葉の隅々まで気を配ることです。
会話の最初から拒絶しているなら話は別ですが、ある程度会話が進んだ上での断り文句であれば、何かしら不満や不安が付いています。
料金が高いから断る、手続きが面倒だから見送りたいなどの本音が引き出せれば成功です。
キャンペーンを行っていて期間限定で安くなることや、手続きのガイドは全て自分が行うことなど情報を盛り込みつつ切り返していきます。
お断りをスマートに切り返すことにより、興味を持って資料請求までこぎつけることができるなど、思わぬ成果へと繋がることも少なくありません。
単純ではありますが、切り返しを実践することにより確実に成功率は上がります。
上手く切り返しが出来たのに断られた場合は、最初から縁がなかったと諦めて次のお客様に挑みましょう。
もしさまざまなことを試しても成果に恵まれないというのであれば、一度原点に戻ってシャドーイングを行うのも効果的です。
ボクシングで言うシャドートレーニングと同様、相手を想定した練習をします。
日頃からカスタマイズしているスクリプトを基に、見込み顧客との電話の会話を想定しながら営業の目的や用件、製品・サービスの魅力の伝達からクロージングまでを実演していきます。
要点を抑えつつ整理しながら、暗記する気持ちで練習するのがコツです。
スポーツの型の練習のように、何度も重ねることにより実際の架電の際の対応スキルも向上します。
名乗りと挨拶
フロント突破から、クロージングまでスムーズに導けるようになれば成功率はかなり上昇するでしょう。
オペレーターにとって受注の数は大切ですが、それと同じくらいクロージングまで導いた数も大事です。
より多くの案件をクロージングまで導いて、受注に繋げるべくシャドーイングで鍛えていってください。
大切なテクニックでありながら、意外と出来ていないのがしっかりとした挨拶と名乗りです。
特にことらから電話をかけた際、受話口の担当者が何人も代わるケースにおいて忘れがちです。
どの担当者が電話に出た時も、挨拶と名乗りを忘れてはいけません。
挨拶を忘れた時に限って、決裁権のある担当者だったというケースは少なくないからです。
どんな状況であっても、挨拶と名乗りはビジネスシーンにおいて必須事項となります。
同様に、アウトバウンドにおける最初の関門、フロント突破の際にも重要なテクニックであり忘れがちな基本であるため今一度見直して確実なものにしておきましょう。
電話+アルファの手段を考える
コールセンターの種類や業態によって異なりますが、効果的な架電を目指すなら他の手段を視野に入れるのも効果的な手法の1つです。
たとえば電話をする前に、あらかじめメールや郵送で資料を送っておきます。
電話をかけた際に資料はご覧頂けたでしょうかと尋ねたら、お客様は目を通していても未読であっても何かしらリアクションがあるはずです。
そこから会話のきっかけが出来ればしめたもので、このようにジャブのように使う時もあれば、スムーズに商談を進めるためのサポートアイテムとしても使えます。
もし電話だけしか許されない状況であれば難しいですが、他のツールを使うことが許容されている現場であれば、大いに活用して成果をどんどん勝ち取っていきましょう。
特色を知る
電話以外のツールを使う前に、それぞれの特色も知っていなければ上手く活用できません。
ここからは各々の特徴について、学んでいきましょう。
コストのかからないメール
インターネット回線の普及と通信技術の発達により、コストのかからないメールは非常に重要な営業手段です。
電話と異なり、突然相手のもとに送ってもリアルタイムで時間を奪うというデメリットがありません。
相手の都合の良い時間に読んで、返信も自分のペースで出来るというのは大きなメリットです。
黎明期はテキストを送るだけで精一杯でしたが、現在はエクセルやワードといった資料のファイルを添付することも可能であり、有用性がさらに広がりました。
アポイントを獲得するためのアプローチは、言わば潜在的な顧客の中から見込み顧客を発掘する作業です。
実際に潜在顧客と商談に入っても、成約まで辿り着くのはその中の一部に過ぎません。
従って潜在顧客に対してできるだけ多くのアプローチを行うことが必要となりますが、その物量を補う上でメールは非常に有利です。
短期間でスピーディーに、一括して大量のアプローチが可能なツールと言えます。
FAXやDM
同じく潜在顧客に広くアピールする上で有効なのが、FAXやDMというツールです。
製品やサービスの案内を盛り込んだ印刷物を、直接相手に届ける手法です。
メールと同じように情報を相手のもとに送る方法ですが、1つ違うポイントとしてはアナログであることが挙げられます。
印刷物は一度手に取られてから、ゴミ箱に捨てられるまでに何人かの目に留まります。
メールは目的となる相手にしか届きませんが、印刷物は不特定多数の目に触れる確率が高く、決済担当者の手にあれば会議の際に議題にのぼるかもしれません。
サブリミナル効果のような、脳や意識に植え付ける効果が高いのも印刷物の大きな特徴です。
他にもホームページやブログといった、Webサイトも大きなツールとなります。
自社のことをよく知らない相手に特に有効であり、いち早く製品やサービスについて浸透させることが可能です。
もちろんこれには事前にDMやFAXなどでホームページの存在を示唆しておいたり、メールにURLを添付してアクセスしてもらう必要があります。
しかし自社のカタログやパンフレットを送付するまでの間に、事前準備として相手に見てもらうことで機会損失を減らすことができるという訳です。
それには公式ホームページのUIを扱いやすく工夫したり、製品の情報が分かりやすいようなレイアウトや説明文を付与したりといった注力が重要です。
それには画像や動画などのコンテンツを追加して、捕捉しておくとより親切でしょう。
SNSサービス
近年は多くの企業が注目している、SNSサービスも主力となりうるツールの1つです。
形状やUI、サービスの目的こそ微妙に違えどユーザーの交流に重きを置いているという点においては共通しています。
あるサービスでは写真を中心に据えていたり、テキストと画像を織り交ぜて交流するものであったり、文字数制限があるもののリアルタイム性に優れているなど各々に特徴があります。
これらの特性を理解しつつ、どのSNSサービスが自社の商材とマッチしているのかを分析することがスタート地点です。
加えて利用する年齢層に差異があるという点にも、注目してみましょう。
若年齢層になるほどSNSサービスを利用する確率が高く、年齢が高くなるごとにWebサイト、電話やファックスといった具合に利用者の年齢層が変動していきます。
商材とSNSサービスの特色との相性に加えて、対象となる年齢やペルソナをきちんと把握しておくことが重要です。
その他の様々な手法
他にも動画配信サービスを利用して、公式チャンネルを通じて営業活動を行うといった手法も使われ始めています。
こちらは読んで字のごとく動画に特化したツールですが、今や大人から子どもまで誰でも配信している時代であり、裏を返せばそれだけ目にする機会も多いということです。
アカウントを作ってテキストや画像を使って投稿すれば良いSNSサービスとは異なり、映像編集というハードルがあるものの、映像と音声によって得られる情報伝達能力の高さは群を抜いています。
企業チャンネルが増えつつある現在ですが、参入のハードルが高くないうちに実践するのが得策です。
SNSサービスや公式ホームページのメールフォームのように、ユーザーが時間帯を気にせずに問い合わせを投げかけられるという点も大きな特徴です。
受付時間が存在するコールセンターとは異なり、夜中に質問を投げかけても良いのは、ユーザーにとって利用しやすい要因となります。
パソコンに加えて、多くの人々がスマートフォンを持っている時代であり、SNSサービスはより身近な存在となっています。
上手く活用することで、営業のサポートだけでなくクレーム対応やインバウンドへの大きな助力となることでしょう。
一方で定番となりつつあるメールや、FAX・DMなどの印刷物も営業活動において非常に強力です。
文字となって相手に直接届くこと、印刷物により担当者の目に多く触れたり不特定多数の視界に入ることなど基本的なことながら、大きな役割を果たしてくれます。
こういった電話以外のさまざまなツールを上手く活用することによって、架電の際のトークがよりスムーズになります。
そればかりか成約率が上がり、部署全体のモチベーションが上がることにも繋がるため活用しない手はありません。
最後に
アウトバウンドとインバウンドの特性を理解した上で、架電の数をこなすことを目標とすることがまず第一段階です。
メンタルを養う
冷たい断り文句を言われたり、いきなり電話を切られたりという対応をとられても気にすることなく、次へと進んでいくメンタルを養いましょう。
話を聞く以前の問題で、付け入る隙もなく拒絶されたならこの相手はそもそもが対象ではなかったと見切りをつけるのが、モチベーションを保ち次へと繋げて行くためのポイントです。
話を聞いてもらえるお客様に巡り会えたら、はっきりとした声で名乗りと挨拶をします。
漫才で言う掴みの部分であり、ここが命運を握っていると言っても過言ではありません。
第一印象を考える
最初の10秒で人の第一印象が決まると言われており、始まりをきちんとすることで好印象を持たれる確率が随分と上がります。
明るいトーンでハキハキと喋り、相手が聞き取りやすい発音とテンポで話しましょう。
相手の顔が見えないため焦ってトークを畳み掛けがちですが、ここは我慢してどうすれば相手に上手く伝わるのかを考えた上で、ゆっくりはっきりと喋るように心がけます。
頭ごなしの拒絶もなく、最初の名乗りもきちんと聞いてくれる場合は潜在顧客の可能性があります。
見込み顧客へとステップアップする上で、まずは話を最後まで聞いてもらう必要があるのですが、終盤まで向かうには最初のフロント突破が大きな壁となるという点はよく覚えておきましょう。
案件の大半が、フロントを突破できないまま終了してしまうからです。
第一印象を良くするために人柄がにじみ出るトーンを、笑顔で話していることが想像できる声を身につけることが大切です。
最初のうちは、フロント突破に全力を尽くす気持ちで挑んでも良いでしょう。
晴れてフロントを突破できたら、スクリプトに従いながらクロージングまで進めていくだけです。
オペレーターの台本であるスクリプトは非常に優秀であり、その内容に沿って進めれば最後まで導いてくれます。
しかし日々の業務においての発見や疑問点を、スクリプトに記入していなければ完璧とは言えません。
普段お客様から放たれる質問や不満点を控えておき、その回答や対処法を調べてスクリプトへと記入し、常にバージョンアップさせておく必要があるからです。
もちろん、そのままの文書を読み上げながら会話をしつつ、時には切り返しをして進めていくのは至難の業です。
日頃から台本をもとに練習して、どんな変化球が来ても対処できるようにしておく必要があります。
クロージングとは
さて最後にクロージングですが、ここがしっかりと決まるかどうかで成約の確率にダイレクトに影響を与えます。
製品やサービスを勧めるという性質上、お客様に出費や作業の手間を頂くことは免れられません。
そのためトークの締めとなるクロージングの段階で、申し訳ないという空気を出してしまう方が意外に多いです。
しかしせっかくの良い商材を勧めて、相手がその気になっているにも関わらず最後の時点で自信なさげに、もし良ければ成約して頂けると幸いですと言った風に弱気な調子になってしまうと台無しです。
途中まで聞いていた段階では良さげだったのに、やっぱり悪い品物なんだろうかと思われかねません。
最後の締めくくりとなる部分ですから、堂々と魅力を伝えてぜひよろしくお願いしますと伝えたいところです。
もし控えめに伝えたいのであれば、いかがでしょうかと言った後に良ければ今から自分が手続きのご案内をしますと、強めのプッシュを付け足せば良いです。
とても有効なテクニック
クロージングにおいて有効なテクニックに、与える選択肢を2つに絞るという手法があります。
テレアポはもとより多くの営業活動において相手の気持ちをいかに誘導し、イエスという回答へコントロールしていくかが大切です。
人間の脳は私達に常に二択を迫っているという特徴があり、ほとんどの人が24時間のうちに無数の選択肢を選別しています。
今からこの行動をするのか後回しにするのか、どっちの食べ物を買うのか、洗髪は面倒だからやめておくのか、などさまざまな二択が無数に浮かんでそれを選択し、日々を過ごします。
従って人間の脳は、二択によって疲弊している状態とも言えるでしょう。
その状態で、イエスかノー以外の回答を要求すればどうなるでしょうか。
選択肢から選ぶだけでも大変なのに、わざわざ自ら回答を用意しなければならず、多くの人は面倒くさいと感じます。
これをテレアポの時に当てはめても同様で、イエスかノー以外の回答をお客様に要求する質問をしてしまうと相手はどんどん面倒に思い始め、せっかくの商談もまとまらなくなります。
相手を逃がさないためにも、イエスかノーで答えられる質問を意識しておくことが重要です。
もしスクリプトに二択以外の質問があれば、見直しておいた方が良いです。
もっと言えば、イエスを選ばせ続けることが肝要となります。
今後もインターネットサービスを利用するかどうかを聞きイエスの返事をもらい、さらにその料金は安い方が良いかどうかを尋ねて、最後にキャンペーン手続きをすれば20%安くなるけれどもいかがでしょうかという風にクロージングへと導きます。
その他の有効なテクニック
またクロージングに強弱を付けることも、有用なテクニックの1つです。
手続きをすれば安くなるという弱いジャブを打っておいて、後に今月中であればさらに40%まで値引きされるというように、強いクロージングを放つという寸法です。
お客様にお手間をかけるのは心苦しいので、いくつかの作業は自分が担当しますという風に感情に訴えるという手法も覚えておきましょう。
基本的に相手に主導権を渡さないこと、自由に選択肢を与えないことが大切です。
もし相手に選択権を委ねてしまうと、考える時間が出来てしまって検討するとか持ち帰りますといったように、逃げる隙を与えてしまいます。
相手が企業の担当者であれば、クロージングの際にアポイントを取るというのも1つの手法です。
イエスであれば商談が進みやすくなるし、ノーであっても次の日程の提示や候補日の確認ができるため、成約を逃しにくくなります。
重要なポイントとしては、架電する中で見込み顧客となりうる相手に対して、適切なコミュニケーションを取ることです。
そして会話をコントロールする技術を磨いてクロージング、ひいては成約に繋げる力を養っていきましょう。