クッション話法とは?

反論を上手く処理するためのテクニック

営業マンが契約を獲得するためには、話術が重要だとされています。

優れた商品やサービスを提供している場合でも、紹介する人物に問題があれば顧客の購買意欲を削ぐことになってしまうはずです。

製品やサービスを熟知していて、何でも質問に答えられるようなビジネスマンであったとしても、テクニックがなければ顧客の気持ちをこちらに向けることができません。

セールスを行っているときには相手から批判的な意見を言われたり、ネガティブな言葉をかけられたりすることもあるはずです。

そのときに、否定してしまっては上手く会話を進めることができません。

相手の気持ちを受け止めた上で自分に有利な話の進め方をするために、クッション話法というテクニックを活用することがおすすめです。

セールスの際に話術が重要であることを理解しながら、クッション話法を知らない、正しく理解できていない人は少なくありません。

言葉の意味をきちんと理解することはもちろんですが、実際のシーンを想定した使い方、使用するときの注意点まで知っておくことが大切だと言えます。

クッション話法は、反論を上手く処理するためのテクニックとして知られているものです。

何かを販売したいときには製品やサービスの魅力を伝えることになりますが、ときには相手から反論を受けることもあります。

反論を受けたときには、どうにか評価を良い方向に変えたいという気持ちからその意見を否定してしまうことが多いです。

事実と異なっている場合も、つい「それは正しくない」といった話し方をしてしまう可能性が高いと言えます。

正しいことを話しているとしても、否定されることは気持ちが良いものではありません。

相手の気分を悪くしてしまうような否定になってしまえば、どれだけ製品やサービスの魅力を伝えても成約に結びつく可能性は低くなります。

そこで、上手く反論を捌くためにクッション話法を活用することがおすすめです。

 

会話での実例

日常シーン

クッション話法は名前の通り、クッションのように受け止めながら話す方法だと言えます。

会話はキャッチボールと表現されることが多いですが、意見されたときにボールを瞬時にバットで打ち返すように強い返し方をしてしまうと、相手は取り損ねたり戸惑ったりすることになるはずです。

反対意見を伝えたい場合でも、一旦優しく受け止めることが大事だと言えます。

否定的な言葉を発する前に、「確かにそうです」「こちらもそう思っています」などと相手の意見を受け止めたり肯定したりすると良いでしょう。

本当にこのテクニックで効果が得られるのだろうかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、かなり高い効果を発揮してくれるものだと言えます。

分かりやすく日常シーンでの会話を想像してみても、クッション話法の重要性が分かるはずです。

親しい人と話しているときに、あなたが「この女優さんが好きなんだけど、可愛いよね」と伝えたとします。

そのとき、相手から「事務所からやたらプッシュされているけど、実力もなければ、どこにでもいそうな顔だよね」などと言われると怒りを感じるはずです。

仲が良い相手であったとしても、いきなり意見を否定されるとかなり嫌な気持ちになってもおかしくありません。

「確かに可愛いよね。ただ、自分は良さがイマイチ分かってないんだよね」と言われたほうが、話も広がりますし、それほど嫌な気持ちにならないはずです。

 

ビジネスシーン

営業マンと顧客に置き換えてみましょう。

顧客が「この商品は自分には高く感じられます」と言ったときに、営業マンがすかさず「何を言っているのですか、かなり安いですよ」と言うようなことがあれば、自分の意見が蔑ろにされたように感じ、顧客が嫌な気持ちになる可能性が高いです。

「確かに、少々高いと感じられるかもしれませんね。ただ、他社の類似商品と比べると3,000円以上お得なんですよ」などと話したほうが印象を悪くせずに済みます。

意見が受け止められた上で新たな情報が追加された場合は、「なるほど」「もう少し話を聞いてみようかな」という気持ちになりやすいでしょう。

多くの人が自分とは違う意見をすぐに否定したくなるという性質を持っており、自分と異なる意見に反論しておかないと気持ち悪さを感じてしまうはずです。

人によっては意見を心の中に抑え込んでしまうことで、大きなストレスを感じることもあるでしょう。

こうした性質があるため異なる意見に反論したくなるはずですが、営業シーンにおいては得策ではありません。

寧ろ、顧客の購買意欲低下や企業への信頼感の低下に繋がる恐れがあることを理解しておく必要があります。

「いや、でも」という否定から入る返答が多い人は、どういった場所でも嫌われがちです。

話し相手の性格によって、意見が激しく衝突してしまう可能性もあります。

商品やサービスを売りたいセールスシーンでは、意見の衝突が起こることは好ましくありません。

クッション話法を使用して顧客との衝突を避けることができれば、成果に結びつきやすくなるはずです。

 

状況に応じて使い分ける

クッション話法は難しいものではないので、正しく知識を身につけておけば誰でも使いこなせるようになります。

イエスバット法・イエスアンド法・イエスイフ法・イエスハウ法の4つの手法がありますが、状況に応じて使い分けることが好ましいです。

手法によって使い方や最適なシーンが違っているので、まずは各手法の特徴と具体的な使用方法を確認しておくことが大切だと言えるでしょう。

様々なクッション話法を使いこなすことができるようになれば、今まで以上にセールスを円滑に進めることができるようになるはずです。

営業で契約を取ることは難しいと感じている人もいるかもしれませんが、話の展開させ方を変えるだけで大きな変化が起こる可能性が高いと言えます。

自分では気がついていないかもしれませんが、知らず知らずのうちに顧客の考えや思いを否定するような言葉を口にしている可能性があるでしょう。

心当たりがある場合は改められるように努める必要がありますし、否定しているつもりがない場合もこのテクニックはとても役立つものなので詳細を知っておくと良いです。

クッション話法について学び、実践的に使用することができるようにしておけば営業マンとして成功できる可能性が高くなるでしょう。

 

イエスバット法

クッション話法の1つには「イエスバット法」があります。

英語で書くと「Yes But」となり、「はい、ですが」と訳すことが可能です。

もちろん、直訳した通りに使用する必要はありません。

「確かにそうですね」「しかしながら」などの言葉を繋げて使用すれば、イエスバット法になります。

一旦肯定してから接続詞を繋げて自分の意見を説明するというテクニックです。

相手との信頼関係を築きながら意見を主張したい、自分に会話の主導権があるときに有効な方法です。

肯定することで相手の心を開き、こちらの意見に対する反発心を減らす効果を得ることができます。

 

会話での実例

日常シーン

分かりやすく日常シーンでの使い方を想定すると、以下のような例をあげることができるでしょう。

たとえば、話題の映画について話していたとします。

あなたは映画を気に入っており、相手は気に入らなかった場合には次のように話されてしまう可能性があるでしょう。

「話題になっていたから楽しみにしていたのに、全然おもしろいと感じられなかった」と言われてしまった場合、「そんなことない、おもしろかった」とだけ言ってもスムーズに伝わりません。

こうした返しでは言い合いに発展する可能性がありますが、まずは受け止めてから自分の意見を伝えると印象が違ってきます。

「確かに、あんなに話題になるほどではないよね。序盤は話が単調で寝そうになったくらい」と一旦相手の意見を受け止め、「でも、後半からの盛り上がりは好きだと感じたな」と言う場合は印象が大きく違うと感じるはずです。

相手のつまらなかったという気持ちを否定せずに受け止めた上で自分の感想を伝えているため、「そんなことない」とお互いに言い合ってしまうリスクが低下します。

 

ビジネスシーン

ビジネスに置き換えても同じことが言えるでしょう。

とても便利だけど使用頻度が少ない製品を販売したいときには、次のような意見が出る可能性があります。

「便利そうだけど、自分の場合は使うことが少なそうだ」という意見が出た場合、先ほどと同じようにすぐ否定してはいけません。

「何を言いますか。絶対に使うので買ったほうが良いです」などと猛烈にプッシュしても、顧客は「そんなことを言われても」と思ったり、「とにかく買わせたいのだろうな」ネガティブな印象を抱いたりする可能性が高いです。

ネガティブな意見が出てしまったのであれば、まずは「確かに、生活スタイルによっては毎日使う商品ではありませんね」と受け止めるべきだと言えます。

その上で、「しかしながら、弊社の統計では1週間に2回以上使用している人が多いですよ」などと情報を追加することが可能です。

分かりやすく、ミキサーを販売したいときを想定してみましょう。

毎日忙しくて朝食をゆっくり用意する時間がない、夜は外食で済ませるし帰宅後にすぐ寝ることが多いという共働き夫婦の場合は、ミキサーを使用する回数が少ないはずです。

「自分たちのライフスタイルに合わない」、「必要性が感じられない」と言われてしまったときでも、次のように返答することができます。

「確かに、そのような生活では平日に使用できることは少ないかもしれません」と受け止めてから「しかし、休日に普段不足している野菜を摂るために野菜ジュースをつくることができますよ」と返すことが可能です。

他にも、「使う機会が少ないと感じられるかもしれませんが、調理の下ごしらえに使えるので家事の時短が実現します」、「今は休日だけの使用になるかもしれませんが、お子様が生まれたときには離乳食づくりに役立ってくれます」などとアピールすることができます。

 

使用する時の注意点

イエスバット法ではまず相手の意見を肯定しますが、その後に接続詞を用いながら反対意見を主張することが可能です。

真っ先に肯定することからスタートするので反論しても柔らかい印象になりやすいですし、顧客の心を閉ざしにくいと言えます。

いきなり否定から入る人に対して、分からず屋だと感じてしまう人が多いはずですが、肯定から入るのでネガティブなイメージを植えつける可能性が低いです。

正当な主張であっても相手の意見を否定してばかりであれば説得が難しくなります。

説得を成功させるためには、クッション話法のイエスバット法を用いることができると知っておくとセールスの際に役立てることができるでしょう。

ただし、イエスバット法を使用するときにはいくつかのことに注意しておかなければなりません。

肯定をする必要がありますが、取ってつけたような雑なものであれば意味がないことを理解しておく必要があります。

「はい」「そうですね」などの一言だけでは、顧客は肯定してもらえたと認識できない可能性があるので要注意です。

受け入れられたことに気づかないこともあれば、取り敢えず同調しただけだと思われてしまう可能性もあります。

オウム返しや単語での返答ではなく、相手が言った内容を踏まえて肯定すると効果を高めることができるでしょう。

相手を納得させることができるような言葉、提案を瞬時に用意しなければならないことも注意点の1つです。

根拠や理由が十分ではない意見を述べてしまうと、相手を説得することができません。

肯定はするものの少なからず否定的な接続詞を使用することになるため、きちんと相手が納得できる説明を用意することが大切です。

売り出したい商品やサービスにおいて、予想される顧客からのネガティブな反応を考えておき、それに対応する効果的な意見を用意しておけばイエスバット法の効果を高められます。

他の手法と比較すると、効果が薄くなるケースがあることも理解しておくべきです。

肯定する言葉を先に伝えていますが、後から否定的な接続詞が入ってしまうことは事実だと言えます。

初めに肯定することで印象を柔らかくする、相手の心を閉ざしにくくする効果を得ることができますが、人によっては続く言葉で否定されたと思う可能性があることを知っておきましょう。

警戒心の強い人に使用してしまうと、身構えられてしまう可能性があります。

イエスバット法は自然な形で使用しやすいテクニックなので初心者に向いていますが、他のテクニックよりは効果が低くなる可能性があることを知った上で使用すると良いです。

 

イエスアンド法

イエスアンド法は、相手の意見を肯定した上で相手の意見の延長であるようにこちらの意見を主張するという手法です。

英語では「Yes And」と書くことができ、「はい、そして」と直訳することができます。

実際のセールスシーンでは、「そうですね、そのためこうなっています」などと使用することが可能です。

イエスバット法は肯定した後で否定する接続詞を使用していましたが、こちらは否定的な言葉を用いません。

相手の言葉を借りながら情報を追加していく形なので、更に反発心が生まれにくい手法だと言えます。

敵ではなく味方であることを伝えやすいテクニックです。

 

会話での実例

日常シーン

日常シーンの場合は、以下のように使うことができます。

あなたが焼き肉を食べたいときに、相手から別のメニューを提案されたとしましょう。

「今日は寿司が食べたいな」と言われた場合、「いいね、だったら最近できた食べ放題のお店に行こうよ。寿司に焼き肉、デザートまであるらしいから興味があるんだよね」などと返せます。

デートで映画を観たいときに相手から「買い物に行きたい」と提案された場合、「分かった、それなら隣町のショッピングモールなんてどうかな。ついでに映画も観ようよ」と返すことができるでしょう。

どちらの場合でも、自分の主張だけを通そうとすると関係が悪くなる可能性があります。

けれども、相手の意見を受け入れて、その意見の延長のような形で自分の意見を主張すれば受け入れられる可能性が高くなるはずです。

 

ビジネスシーン

セールスシーンに置き換えてみましょう。

「ちょっと高いですね」と言われてしまったときには、「実は同じことを思っていました。最初に値段だけを見たときには高くてびっくりしたんです」と初めに伝えることができます。

その後に、「値段が高いため、他社の製品にはない新しい機能が搭載されているんです」と情報を追加すればイエスアンド法の完成です。

イエスバット法の場合は、「そうですね、ですがその分他社よりも優れています」と言い換えることができましたが、イエスアンド法では否定することなく会話を進めることができます。

値段以外のシーンでも使用することが可能です。

「この製品は使いこなすのが難しそうですね」と言われた場合には、「そうですね、従来の商品と比べると性質が違っているので慣れるまでに時間がかかるかもしれません」と伝えてから、情報を補足することができます。

「そのため、自動で稼働してくれるオート機能が搭載されています。これを使えば初めてでもスムーズに使用できるはずです」などと、追加で魅力をアピールすることが可能です。

ビジネスでは相手の否定的な意見を打ち消すだけでなく、新情報を追加しながら疑問や不安を解消する、製品に対するイメージを向上させることが重要だと言えます。

イエスアンド法はこれらを実現するためにピッタリのテクニックなので、積極的に用いることがおすすめだと言えるでしょう。

 

使用する時の注意点

とても便利なイエスアンド法ですが、こちらも使用する際に注意点があります。

まず、相手の意見の延長のような形にする必要があるので、顧客の主張を正しく把握して返答を考える必要があるでしょう。

正しく意図を汲み取ることができていなければ、的を射ていない返答になる可能性が高いです。

せっかく有益な情報を追加したとしても、相手の意図にそぐわないものであれば効果が薄れたり、意味がなくなったりします。

顧客はトークのプロフェッショナルではないので説明が下手な場合もあるでしょう。

真意が分かりづらい言葉を受けたときには、先に相手の思っていることを読み解く作業を行うと良いです。

読み解く作業をおざなりにして話を進めようとすると、食い違いが起こって相手の満足度が低下する恐れがあります。

日頃から色々な人と話す中で相手の思いを確実に汲み取る力を身につけることが、イエスアンド法を活用するために重要です。

商品やサービスに関する知識量も、このテクニックを使いこなせるかどうかに大きく影響してきます。

新情報を追加することは簡単なことではありません。

営業を行うときには初めに製品について色々な情報を提示しているわけですから、新たな情報を探すことが難しいと感じられる場合もあるはずです。

既に説明した内容を再度追加で話すこともできますが、これでは十分なインパクトを残すことができません。

それどころか、「その話はさっきも聞いた」と思われる可能性があります。

顧客からネガティブな言葉が出そうな部分は、追加で説明できる情報を残しておくことがおすすめです。

あらかじめ話しておいたほうが魅力を伝えやすい内容もあれば、必要に応じて後から説明したほうが効果的な内容もあります。

サービスや製品への知識をただ詰め込むだけではなく、こういった点まで意識しておくことが大切だと言えるでしょう。

 

普段から積極的に使う意識を持とう!

イエスアンド法は「そのため」「つまり」「実は」などの言葉を用いて会話を繋げることができ、否定せずに会話を運べる便利な手法です。

かなり有効なテクニックであることには間違いがありませんし、魅力を強調して伝えられるというメリットもあります。

ですが、イエスバット法よりも使いこなすことが難しいと感じられる可能性が高いです。

イエスバット法に慣れてしまっていると肯定の後に否定する言葉を選びやすくなるので、日頃から使いこなせるように訓練しておくことが大事だと言えます。

日常的なちょっとした会話でもイエスアンド法を使うことが可能です。

営業の際にこのテクニックを使いこなしたいと思っているのであれば、普段から積極的にイエスアンド法を取り入れた会話展開を意識しておくことがおすすめだと言えます。

人間は共感されると心を開きやすくなる傾向がありますが、イエスアンド法はしっかり共感することができる手法なので効果が高まりやすいです。

相手に共感するだけになると商品をアピールすることに失敗する恐れがあるので、共感プラス製品の魅力的な部分のアピールを意識しながら用いるようにしてください。

この方法では上手く対応できないケースがあったとしても、イエスイフ法やイエスハウ法が活用できるので、無理することなく使用できるケースだけイエスアンド法で対応しましょう。

 

イエスイフ法

イエスイフ法は「Yes If」と英語で表現することができ、「はい、もしも」と訳すことが可能です。

「もしも」以外に、「例えば」「それであれば」などの接続詞を使用することもできます。

利用シーンでは「そうですね、それならば」といった使い方ができるでしょう。

イエスイフ法は本音を引き出すためにピッタリの方法だと言えます。

相手の意見を打ち消すことができる状態になればどうするのか調査することで、効果的なアプローチ方法が判断できるようになるはずです。

 

会話での実例

日常シーン

日常的な場面の場合では、次のようなケースでイエスイフ法を活用することができます。

「今日は疲れたから夕食をつくりたくない」と言われた場合、相手は家で食べることが嫌なのか調理することが嫌なのかという深い部分まで知ることができません。

「確かに、今日は大掃除をしたから疲れたよね。それなら、デリバリーを注文するのはどうかな」と相手の意見を尊重しつつ提案してみると、本心を知ることができます。

そこで、「デリバリーという気分じゃない」と言われた場合は外食を提案すれば受け入れてもらえる可能性がありますし、外食まで断られた場合はあなたが調理することを望んでいるのかもしれません。

イエスイフを使えば、円滑に本心に近づけるようになります。

夕食をつくりたくないと言われたときに、「じゃあどうしたいの」と冷たく感じられるような聞き方をしてしまうと、相手が心を閉ざしたり、本心を隠したりする可能性が高いです。

肯定した上で仮定的な話をすれば、すんなりと本音を知ることができるケースが多いと言えます。

 

ビジネスシーン

早速、ビジネスを想定して考えてみましょう。

値段を理由に「高いから買えそうにない」と断られてしまうこともあるはずです。

そのときには、「確かに、高いと感じられるかもしれません。もしも、今より安く販売されていれば購入を検討していただける商品になりますか」と聞くことができます。

本当に値段だけが原因で購入する気持ちになれない場合は、「安ければ考えます」という言葉が得られるでしょう。

実は値段以外にも引っかかっている部分がある場合は、「値段が安くても使うことが少なそうだから迷います」というような回答があるかもしれないです。

購入に踏み切ることができない別の理由が明らかになれば、新たなアプローチ方法を考えられるので、効率的にセールスを進めていくことができます。

イエスイフ法の魅力は、相手の話をきちんと聞いていることをアピールしつつ新たなアプローチ方法を探れる点です。

一方的に考えを探られていると感じれば、気分を悪くしてしまう人も多いと言えます。

唐突に仮の話をされてしまうとついていけないと感じてしまう人もいるはずですが、相手の言葉に肯定しつつ、その内容に関する仮定的な話をすることで受け入れられやすくなるでしょう。

 

使用する時の注意点

他のクッション話法と同様にイエスイフ法にも注意点があるので、これを踏まえた上で使っていく必要があります。

このテクニックを使いたい場合は、実現可能な提案でなければ失望させてしまうリスクがあることを知っておくべきです。

値段を理由に購入してもらえないようであれば、大幅に値下げしたくなるかもしれません。

現実的に考えると値下げが難しい、大幅な値引きは不可能という状況で「もしも、5万円安くなったら買ってもらえますか」などと聞くべきではないと言えます。

あくまでも仮定であると伝えていたとしても、具体的な数値を聞いてしまうと「もしかすると本当に5万円安くしてもらえるのかも」と、顧客を期待させることになる可能性が高いです。

期待させるだけさせておいて、「実際に5万円も値引きすることは無理ですけどね」などと伝えれば、顧客をひどく失望させてしまうことになるでしょう。

イエスイフ法を用いるのであれば、実現可能な範囲でもしもの話をすることが重要です。

具体的に値引きできる金額が分からない場合は、敢えて金額を伝えずに「今より安くなれば検討してもらえますか」などと伝えると良いでしょう。

乱用してはいけないことも注意点です。

もしもの話が多すぎると、顧客を混乱させることになります。

「安ければ」「機能が追加されれば」「無料でサポートがあれば」など、どんどん魅力的な提案をしてしまうと、何が本当の情報なのか分からなくなる恐れがあるでしょう。

成約したとしても実際に付属しているサービスと仮定として話した内容が混同しており、後から思っていた契約内容と違ったと言われる可能性もあります。

顧客の信頼を失ったり、クーリングオフや契約解除を希望されたりするかもしれません。

更には、上司や他部署から勝手な提案をしないように注意される可能性があるので、こうした問題が起こらないように気をつけておくべきだと言えます。

 

ケースを想定して下準備をしよう!

イエスイフ法は、商品の価格決定やサービスの決定に関する権限がない人は使用しづらい方法です。

顧客に「もしかすると叶えてくれるのかもしれない」と思わせることになるので、実現可能な範囲で提案する必要がありますが、権限がない人であれば実現できる範囲が分からない可能性があります。

事前に、上司や価格やサービスの詳細を決める部署と話し合っておき、どこまでであれば値下げに対応して良いのか、どういったサービスであれば無料で追加できるか確かめておくと良いでしょう。

あらゆるケースを想定して仮定的な話ができるように下準備をしておけば、効果的にイエスイフ法を用いることができるようになります。

顧客の本当の気持ちを知るためにイエスイフ法は便利ですが、状況によってはこのテクニックの使用が難しく感じられるはずです。

双方向のコミュニケーションを実現しながら交渉できるというメリットがあるものの、実現可能な範囲が分からない場合は使いづらいというデメリットがあります。

こういった事情から、値下げできる範囲やサービスできる部分がハッキリと分からない場合は使いこなせないと思うかもしれませんが、類似するテクニックとしてイエスハウ法を活用することが可能です。

イエスイフ法を利用できない場合は、イエスハウ法を使うことができないかどうかチェックしてみると良いでしょう。

 

イエスハウ法

イエスハウ法は、相手の意見を受け入れつつ相手が納得できる内容を探るための手法です。

「Yes How」と書くことができ、直訳すると「はい、どうすれば」となります。

イエスイフ法の場合は実現できそうな範囲で仮定的な話を行うことで効果的に相手の本音を探りますが、イエスハウ法の場合は相手から直接希望を聞き出す方法です。

 

会話での実例

日常シーン

普段の使用シーンを想定すると、以下のような会話が考えられます。

旅行先を決めるときに、相手から「美味しい海の幸が食べたいから北海道に行きたい」と言われたとしましょう。

その場合は、「北海道良いね。テーマパークに行きたいから大阪も良いなと思っているんだよね。どうしたらどちらの希望も叶えられるかな」と、相手の主張を受け入れながら良い案を見つけたい気持ちを伝えることができます。

「北海道より絶対大阪が良いよ」などと真っ向から反対意見を押しつけても受け入れてもらえないはずですが、お互いの希望が取り入れられる方法を模索しようという姿勢を見せることで協力的な反応を期待できるでしょう。

例にあげた旅行の話であれば、魚市場で新鮮な海鮮料理が楽しめて、近くでテーマパークも楽しめる地域を提案してもらえるかもしれません。

 

ビジネスシーン

ビジネスのシーンで考えてみると、「値段が高いから買えない」と言われたときには、「少々高いですよね、この製品であればどのくらいの価格なら購入を検討してもらえますか」と聞くことができます。

明確なラインが決まっている場合は、「あと5,000円安ければ絶対に買います」と言ってもらえるかもしれませんし、何となく高いと思っている場合は「5,000円安ければ候補に入れます」という反応になるかもしれないです。

イエスハウ法を使用すると、相手の反応から最適なアプローチ方法を見つけやすくなります。

絶対にこの価格になれば買いますと言われた場合は、その価格が実現できるように動くことができますし、安くても買うかどうか分からないようであれば他の不満を探るアプローチに切り替えることができるでしょう。

イエスハウ法は値段以外に関しても使用することができます。

「必要な機能が足りない」と言われた場合は、「どのような機能があれば検討してもらえますか」と尋ねることができ、回答内容によってはオプション機能を紹介することも可能です。

「デザインが気に入らない」という場合は、「どのようなデザインであれば購入したいと感じますか」と聞き、類似商品から希望に合うデザインを探してくることもできます。

様々な希望を聞き出せるようになるので、その顧客にピッタリな商品やサービスを考えやすくなるでしょう。

 

使用する時の注意点

他のクッション話法と同じく、イエスハウ法を用いるときにも注意点があります。

イエスハウ法を使っても、相手から明確な回答が得られないこともあるので注意が必要です。

顧客の中には自分の希望がハッキリと分かっていないまま反射的に否定する人もいれば、何が何でも買うつもりがない人もいます。

そういったケースでは、イエスハウ法を用いてもアプローチに繋げられる回答を得ることができません。

顧客が自分の希望を理解できていない場合は、話を掘り下げていくことで重視したい部分が見つかることもあります。

最初から完璧な答えを得ることを目的としていては、上手くいかないと感じる可能性が高いです。

イエスハウ法を使いこなすためには、テクニックを用いて会話を進めながら本音を探る作業になることを理解しておきましょう。

イエスハウ法で要望を聞き出そうとすると、思いもよらぬ答えが返ってきたり、明らかに無理な要求を受けたりすることもあるので注意が必要だと言えます。

相手に全てを委ねるような聞き方なので、3万円で販売している製品に対して「1万円なら買いたい」というような希望が出るかもしれません。

無理であることが明確に分かっている内容であったとしても、相手が真剣に考え出した答えであればすぐに否定するべきではないです。

簡単に実現できないことを伝えると、商品購入への意欲が一気に下がってしまうことになります。

難しい要求が出た場合に、いかに上手く返せるかがイエスハウ法を使いこなすための重要なポイントです。

代替案を素早く用意することができる、実現が難しいことを顧客が納得できる形で説明することが重要だと言えます。

イエスイフ法と違って、イエスハウ法は主導権を握りづらい点に注意が必要です。

自ら相手に主導権を渡してしまう可能性が高いので、注意しておかなければなりません。

顧客が要望を話し、営業マンが何とか対応しようとするという図式になる可能性が高いです。

一時的にこの図式になることは問題ではありませんが、顧客に主導権を握られた状態が継続することは問題だと言えます。

あれもこれもと顧客から希望が出てくる可能性が高くなり、本来であれば値下げだけでも購入してもらえる可能性が高かったのに、いつの間にかオプションサービスの無料まで応じることになっていたというような問題が引き起こされる可能性が高いです。

どちらが主導権を握っているのか確認しつつ、長期的に顧客主体で話を進めることがないようにしておく必要があります。

 

様々な手法を併用しましょう!

クッション話法にはいくつかの手法がありますが、イエスハウ法を使うことでより具体的に顧客の希望を理解できるようになるでしょう。

別の方法よりも相手にとって優先度の高い希望を探りやすい、明確な希望を教えてもらいやすいというメリットがありますが、叶えることが難しい内容を提示されるリスクも理解しておく必要があります。

顧客の要望を直球で聞くわけですから、効果的なアプローチを実現するための手がかりが見つかりやすいですが、必ずしも対応できる内容を答えてもらえるわけではないので、イエスハウ法だけに頼ることは危険です。

イエスイフ法などの他の手法を併用しながら考えを探ったり、相手の心を惹きつけたりした上で、ここぞというときにこの手法を使用してみることをおすすめします。

クッション話法はとても便利ですが、それぞれで違った特徴があるので使い方や注意点を理解した上で適切に使いこなせるようにしておくと良いでしょう。